初体験

 やっぱり、目が気になる。何度も洗浄しているけど、毎回目やにのような物が取れてくる。左目視界中央に、まるで目やにが着いたような白い物が、視界を遮っている。ダメなのかな? 眼科で看てもらいたいけど、今月は村営船みしまが、十島村へ応援航海に行ってしまうので、診察を受けるには4泊鹿児島で泊まらないとならない。それは、ちょっと厳しいでしょ? 治るのかな?

 気持ちが沈んでいると、あまり活動的に仕事が出来ないものである。
 とりあえず、昨夕から発情していた黄色165たのもし(金幸)の種付けをした。いつも通り、頚管鉗子法で華春福を着けた後、長手袋を着けて直腸に手を入れ、直腸膣法に挑戦した。
「あれ?通った!」
気のせいかと、何度も確認したが、確かに通っている。一度抜いて、もう一度通し直す。
 たのもし! この名は、忘れられない名になるだろう。

 子牛の移動をした。
 まず、光五郎と福茂太郎を、糖蜜ほ乳瓶で誘って、ほ乳ロボット小屋へ引っ越しさせた。K君も、初めての体験だけど、上手くやっていた。そのまま、ほ乳ロボットの乳首まで誘導した。この二頭が生まれたとき、俺は競りに行っていたせいか、指に対する反応性が悪く、餌への食いつきも良くない。ちょっとしたタイミングで、牛への働きかけの効果が、まったくちがってくるのだ。
 ちょうど、ほ乳ロボット卒業の子牛が二頭出たので、電柱牛舎に連れて行く。この二頭も、糖蜜液への吸い付きが弱いので、ロープをかけて引いていった。