天才的な子牛

 何となく、雨は降らないと思っていたのだが、外に出たら地面はしっかり濡れていた。
 春幸次郎(亀勝)は、天才的な子牛だ。
 超早期母子分離してきて、ほ乳瓶で与えたミルクを、すぐに飲む子牛は珍しくない。だが、その直後から、配合飼料をもりもり食べる子牛は、とても珍しい。さらに、食べるからといってどんどん食べさせていると、翌日は下痢をして食欲も無くなるモノだが、下痢もせずにさらに食べる。
 最近、養牛の友で、強化哺乳の記事を読んだ従業員さんは、
「沢山飲ませて、沢山食べさせたら、大きくなるかな?」
と言って、挑戦することになった。
 
 今日は、馬小屋建設のために、柱を立てる予定だった。
 掘った穴に、電柱を立て、根元をコンクリートで固める。そのためには、柱を支える補助が必要になる。
 馬小屋建設と言っても、材料も無いので、馬専用の小屋が独立して建つわけでは無い。哺乳ロボット小屋に寄り添って建っている、パドック小屋の屋根を延長して、馬が入るスペースを確保するつもりだ。屋根の勾配を緩やかに変えることで、背の高いポパイでも入れると思う。南国なので、緩やかな屋根の勾配にしても、雪で潰れる心配は無い。これは、とてもありがたい。
 馬のために、出来るだけ広くスペースを取ろうとしたため、パドック小屋から410cmも幅を取って穴を掘ったのだけど、そんなに長い木材は滅多に無い。普通は、一間(約180cm)とか二間(約360cm)に切りそろえてある。俺が北海道から持ってきたのも、二間のカラ松材だ。
 あっちこっちを探し回ったが、400cmの角材なら見つかるが・・・。でも、450cmの角材を見つけてしまった。これならやれる♪ ちゃんと、設計図を書いて、材料をそろえてから建てろって? 計画的に動くのは、苦手なんです(^^ゞ
 
 日差しが指すときもあったけど、直後にサラサラと淡いシャワーのようなモノが降る、狐の嫁入りのような天気だった。ずぶ濡れになることは無いけど、外作業をしようと言える天気では無かったので、子牛の去勢手術をした。
 以前と違うところは、部屋に俺が入ると、好奇心いっぱいに近寄ってきて、簡単にもくし(おもて)をかけられる。手術中も、ほとんど暴れない。暴れなければ、痛みも少ないのだ。

 種付け二頭。
 まずは、黒島崎の、緑4だいだい(平茂勝)。安平幸を着けた。
 次は、灯台下放牧地の、赤16のぼる(金幸)だ。牛舎の枠場まで引っ張ってきて、頚管鉗子法で種付けした後、直腸膣法の練習をした。左側に、卵胞らしきモノを確認できたが、頚管を通すことは出来なかった。道はまだ遠い。