狙われたローズ

島では、俺の愛豚ローズが狙われている。
 港で俺の顔を見るたび、
「ブーちゃん早く食べよう!年取っていても、柔らかく煮る方法があるから・・・美味しいよぉ♪」
と言う奥さんとか、いつも釣りをしている踊りの先生も、
「つぶして食べる豚は、美味しいんだよ。」
と、豚の話になると声が弾む。
 つい先日は、従業員さんの娘が、学校で
「豚は、食べないの?」
と聞かれて、仰天したそうだ。
 娯楽の少ない島では、美味しい食べ物は大切である。何年もペットとして飼ってきたローズをつぶすなんて論外だが、種豚を飼って子豚を産ませようかと、本気で考えてしまう。でないと、いつかローズが行方不明になったりして・・・(^^ゞ 肥育は、従業員さんがいるから牧場ではできないけどね。

 今日は、整形外科と役場と税理士さんのところに行った。体のメンテナンスをして、支払いを沢山して、経理のやり方について話を聞いてきた。とても疲れた。

 そこから、映画を観ようと駅まで歩いたのだが、途中で置物のようにおとなしく座っている犬を発見した。ほとんど身動きできないほど短いロープにつながれていて、ちょっと可哀想だった。だが、触ってみたら、顔は落ち着いていてあまりいじけた様子が見られなかった。犬は知能が高く、飼い主が自分の働きにとても満足していることを上手に伝えてくれれば、喜びを持って仕事をしてくれることもある。この犬が、大切に扱われていることを祈った。
 改めて見ると、ベーグル屋さんだった。立ち去ろうとしたが、看板犬として頑張っているその犬の為に、買うことにした。プレーンが150円。ほうれん草を練り込んだポパイが180円だった。