読書な日

 読みやすい文章とは、人によって違う。
 俺も、牛飼いになって、活字を見るとたちまち眠ってしまうようになってしまったが、昔はずいぶん本を読んでいたこともある。なんの本が好きかと聞かれると、記憶の中に薄れているけど、好きな本は沢山あるし、何度も何度も読み返した本も多い。

 一年ほど前かな?ゲーテファウストを読もうとしたが、詩人の手で装飾された文章が、野暮な俺には読みにくくて、10ページで断念して人にやってしまった。詩人でも、ヘッセの郷愁は大好きで、物語の中に引き込まれ、激しく共感し、疑似体験できた。
 牛飼いをしていても、野田知佑や、新田次郎孤高の人とかアラスカ物語などは、眠らずに読めたっけ・・・。
 
 最近、ヘッセのデミアンと、太宰治人間失格を、古本屋で買った。
 人間失格から読み始めた。
 読書って、活字から情景を映像化できないと、面白くないと思うのは俺だけかな?これは、高度な脳内活動で、久しぶりだと回路を復活させるのに時間がかかる。あまり共感できない主人公に戸惑いながらも、久しぶりの読書なのに投げ出さずに半分まで読めたのは、俺を引き込むだけの力を持った名作なのだろう。時間はたっぷりあるから、もうちょっと楽しんでみようかな?

 カフェに行ったり、港の公園のベンチで、のんびり本を読んで過ごした。正面の桜島には、雪が積もり、時折爆発して噴煙を噴き上げていた。犬と散歩の人や、若いカップルが、幸せそうに歩いている。平和なひとときだ。

 手持ちのジーンズは、いずれも5年以上前に買った物で、生地が傷んで裂け始めていた。だから、買いに行った。お店の人に、選び方が解らないと言ったら、ホレホレと数本選んでくれて、その中からエドウィンの黒っぽいのを買った。ちょっとこすれた痕があったが、それがおしゃれらしい。
 シャツのボタンが取れたので、針と糸を買って、ホテルに帰って裁縫した。

 映画を観ようと思ったが、観たい映画が見当たらず、断念した。仕方ない。本を読もう!
 動画で、ユーミンのリフレインが呼んでいるを聴いて、ショックを受けた。高い声はかろうじて出ていたが、声が割れていた。先日久しぶりに観たテレビに、広瀬香美が出ていたが、突き抜けるような高い声が売りだった彼女なのに、今は見る影もなかった。みんな、年を取ってしまったのだなぁ(俺を含む)。