除角

yonemiki2012-01-23

 今日は風が強く、船は欠航した。合唱コンクールに参加していた島の中学生は、鹿児島に足止めだとさ。
 牛舎のセンサーは、8℃と表示していた。15℃だった昨日より、だいぶ冷たい風だ。俺はセンスレスだし、従業員さんはしっかりした下着を着ているから、あまり寒さを感じないが、生き物を飼う人は気温変化にも敏感で無ければならない。氷点下の北海道に比べたら、何ともない気温だが、急激な気温変化は病気の元になる。風が直接体に当たりにくいように、板を立てたりする。
 湾放牧地に建てた連動スタンチョンを活用し、同時に角切りをするために、牛舎からハルカとみずほを連れて行き、代わりに育成牛四頭を連れ帰ることにした。湾放牧地は、牛舎から最も遠い場所にあるから、移動にはトレーラーを使うと楽である。でも、俺が二頭ずつロープで引いて行った。
 ハルカは、落ち着いていれば従順で扱いやすい。だが、信用していると突然何かが気になって暴れ出し、変則的な動きでロープを振り切って逃げてしまうこともある。一方のみずほは、基本的に人間好きで従順な牛だが、道が砂利から舗装になったり、道が曲がっていたり、空が青かったりしただけで動けなくなってしまい、そこを通り抜けるのにものすごく俺の体力を消耗させる。良いやつなんだけどね(^_^;)
 みずほと入れ替わりに、湾放牧地の四頭を連れ帰るのは、みずほは除角済みなので、角のある湾の育成牛と混ぜたら、酷い目に遭わされるからだ。この際だから、一気に除角してしまおう! 二頭ずつ、引いて連れ帰った。
 昼飯は、直径28cmのフライパンいっぱいのお好み焼きだ。
 除角は、まず角の根元を縛って止血するところから始める。縛った紐に棒を差し込み、くるくる回して締め上げると、角を切ってもほとんど血が出ない。
 麻酔薬を静脈注射して、数秒で倒れる牛もいれば、角を切る段階になっても倒れない牛もいる。麻酔の目的は、痛みを抑え、俺に除角されたという記憶を残さないことにある。牛の中には、悪い記憶はいつまでも覚えている牛がいて、俺を見ると逃げるようになっては困るのだ。
 出来るだけしっかり縛り、パイプカッターで根元から切断する。痛がって頭を振ると、カッターがずれてとても切りにくいので、よく固定するのがコツである。
 切り口は、焼きごてで焼いて、麻酔中和剤を静脈注射して、目を覚まさせる。
 切り落とした角は、犬たちのおやつになる。四頭も除角したので、食べ応えがあったかな?俺は、今日も筋肉痛になるかな? 
 頑張ったから、黒毛和牛のすきしゃぶにした。
 A4等級の肩ロースのはずなんだけど、物が良すぎない?お肉屋さん(^^ゞ