引き牛調教

 牛舎に行ったら、子牛が走り回っていた。
 以前だったら、捕まえるのに苦労したのだが、脱走していた春金太郎は、俺を見て駆け寄ってきて、指を見せたら吸い付いてきた。そのまま、部屋に誘導。なんて楽なんだ!
 コトブキの止血紐が緩んでいて、エサ箱が赤く染まっていた。昨日手こずらせたセンは、簡単に捕まるけど、部屋から引っ張り出すことさえ苦労した。
 仕方なく、ホイルローダーのバケットにロープを結び、バックしながら引っ張った。センは、足を突っ張って抵抗したが、機械に勝てるわけも無い。
 中には、足を滑らせひっくり返っても抵抗する牛もいるのだが、センは抵抗しながらも、何とか歩いているからまだマシである。しばらく引いて、抵抗するより引かれたら歩く方が楽だと気づかせるのだ。
 抵抗して抵抗して、300mほど引っ張ったところで、センはホイルローダーの速度に合わせて、自分から歩くようになった。ここで、安心してはいけない。引っ張られたら歩く!と認識していれば良いのだが、機械に引かれたら歩く!と認識していたら、人が引いても歩かない。試しに降りて引っ張ろうとしたら、全く動かなかった。
 こういう場合、機械で引きながら、人が前を歩くと、まるで人に引かれていると錯覚してくれるのだが、今日は人がいない。とりあえず、ホイルローダーの後ろに縛り、引っ張ってみた。すると、センはまた激しく抵抗した。バケットに引かれたら歩くとしか、認識していなかったようだ。何度か引き牛調教しないと、歩くようにならないだろう。
 ということで、牛舎に戻ったが、枠場には頑として入らなかった。仕方ないので、鉄柵に縛って静脈注射した。ちゃんと、綺麗に入った。顔を上に向けて首を押さえれば、首の静脈は指ほども太くて、見つけやすいのだ。でも、素人なので、そっぽを向かれると、発見できないことも多い。
 ところが、3.5ml注射したのに、昏睡どころか、倒れ込みもしなかった。追加しようにも、もう薬が無い。追加の薬が来るのは、明後日だ。そのまま、切ることにした。頭を固定するのに苦労して、かなりの時間を取られた。何とか切ったけど・・・。

 灯台下採草地の方に行ったら、2頭脱走していた。犬たちに追わせたら、バラ線の破れ目から戻っていった。ここも、張り替えないとボロボロだ。
 灯台下放牧地では、白5かねふくと、緑2しげふく7が発情していた。白5は平成12年生まれ。種がつかなければ、そろそろ更新時だ。どちらも、岡茂服を着けて、白5はスタンチョン調教をするために、牛舎に入れた。

 従業員さん一家が帰ってきたので、星がつおを刺身と叩きにして、ご馳走した。