捜し物

 世間では、クリスマスイブということで、盛り上がっているのかな? 島内には、子供は一人も残っていないので、浮かれた様子も感じられないが・・・。
 天気はあまり良くないが、昨日より風も弱く、波は静かだった。今日の悪天候が予想されるから、昨日片道日帰り航海だったが、『はて?』と首をひねってしまう。あまり寒くないのに、霰が降った。
 エサ小屋に行ったら、ネズミに侵入され、袋が穴だらけにされていた。農業用猫は、何をしているのか?北海道にいた頃、猫を飼う前はネズミだらけだったが、ゴン太などの精鋭が守り始めてからは、全く被害が無かったのだが・・・。ゴン太の死が悔やまれる。
 
 実は、昨日からずっと、捜し物をしている。実に勿体ない時間だ。そして、悪いのは全くこの俺なのだが、もはや自力では立ち直れないほど、片付けや書類整理などが荒れまくっている。やっぱり、部屋を片付けてくれる人を、真面目に探すべきかな? 女性蔑視では無く、誰かの助け無しには片付かない末期症状なので、助けて欲しいということで・・・。
 捜し物とは、麻酔薬だ。今年導入した育成牛を、冬の間に除角してしまいたい。北海道時代は、無麻酔で止血もしなかったのだが、俺が切ると怖がって逃げる牛が出た。だから、角切り隊に切ってもらっていたのだが、硫黄島では自分で切るしか無い。除角は牛にとっても、最大級に痛みを感じる作業で、止血も傷口を焼くから、その苦痛は想像を絶する。去勢では声一つあげない牛が、除角では絶叫する。
 だから俺は、麻酔を使う。せっかく築き上げた関係を壊したくない。その麻酔が見つからないから、昨日からイライラしている。ああ、情けない。

 雨の中、あの頭の白いスズメが、一週間ぶりにミラーの前に留まっていた。生きていたんだ! 嬉しかった。

 漁師さんから、星カツオを買って、刺身と叩きにした。オボソともいうこのカツオは、脂がのっていてトロのようだ。一人で美味しく食べた。
 捜し物は、お釜の前に置いてあった(^^ゞ