懐いていない牛は、やっかい・・・

 とりあえず、11月30日分から、写真をアップしてみた。ついでに、白頭スズメの動画をアップしようと頑張ったのだが、思いもよらず手間取ってしまった。

 数日前、南九州市の友達から馬のサプリメントが届いていた。餌にちょっとだけ振りかけてやると、毛づやが良くなり、馬が健康的になるとか・・・。俺の勝手で、北海道から九州の離島に連れてこられ、暑さで体調を崩し、被毛がボロボロになってしまっている。何とかしたいと思い、デキサメソゾンを注射し、サプリメントを与えて、元のハンサムなポパイに戻って欲しいな。
 夕方から、従業員さんは学校の集まりに行ったのだけど、突然電話があり、うちの牛が近所の牛の群れに交ざっていると連絡があったとか・・・。仕事の途中だったけど、投げ出して現場に向かった。初めは、何頭も混ざっているという話だったが、どうやらここのユリちゃんを好きだったオリヒメが、柵を越えてやってきたらしい。湾放牧地の牛の中で、唯一体を触らせないオリヒメは、呼んだって逃げるだけだ。広い放牧地では、捕まえようが無いのだ。それでも、行き止まりの狭い所に追い込んで、もうちょっとという所まで追い込めることが解った。棒の先にロープの輪を取り付けて、追いかける。牧場犬みたいなことばかりやっているなぁ。さんざん走って何とか追い詰め、角にロープをかけることが出来た。鼻輪をつかみ、ロープで縛ろうとしたが、暴れてなかなか結べない。やっと縛ったが、今度は引っ張っても動かない!牛と綱引きをしても、あまり益は無い。ただこちらの体力が消耗していくだけだ。何とか頑張って、一端を柱に縛り付け、後ろに回って追う。まぁ、柱のあるところまでは、なんとか頑張って引っ張るしか無いのだけどね。
 車で、うちの牛舎まで引っ張って帰ろうと思って、準備をして紐をほどきつなぎ替えようとしたら、体で俺を壁に押しつけて、次の瞬間ジャンプした。そして、足にロープを絡ませぐるぐる回り始めた。こうなると、相手は死にものぐるいで暴れることが多く、とても危険だ。実際、俺は尖った角で胸を突かれ、ロープを離してしまった。と言うことで、捕獲作戦は失敗した。すでに真っ暗になっていて、牛の見分けがつかない。作戦は、明日に延期だ。
 
残った仕事をやり終え、家に帰って休んでいたら、牛温恵から、駆けつけ通報が来た。昨夜遅くに、段取り通報が来ていたが、寄りによって真夜中の出産だ。通常の駆けつけ通報なら、それほど急ぐ必要が無い。軽いお産の場合は、すぐに生まれるけど、難産になる可能性がある大きな子牛は、簡単には出てこない。何となく、他の牛を見ながら、二次破水して足が出てくるのを待った。
 二時頃になって、ようやく前足が二本出てきたので、母牛を枠場に繋ぎ、手を消毒して足を引っ張り、産科テープを引っかけて、全体重をかけて引っ張った。滑車で引っ張るより大変だけど、手で出せるなら手で出したいかな? 出てきたのは、ちょっと大きめの雄だった。
 母牛は警戒しながらも、へその緒を消毒させるくらいは許してくれた。でも、大きく生まれた子牛は、簡単には立たない。いつまでも待っていれば、きっと自力で立ち上がって、母親からの初乳を飲むのだろうが、いい加減眠くなってきたし、初乳は出来るだけ早く飲ませたい。母牛を繋いで、人工初乳を飲ませることにした。ほ乳瓶で飲まなかったから、ストマックチューブで流し込んだ。
 帰ったのは、三時半過ぎだった。夜中のお産は、辛いね。月は沈み、東の空にあったシリウスが、南中していた。