欠航した日

 早寝すると、早くに目が覚めるものだ。4時頃には起きていたのだが、あまり早くにゴソゴソ動くと、迷惑なのだ。階下で物音が聞こえた5時半まで、ゴロゴロ過ごす。ここはドコモの携帯は、電波が弱くて通じにくいので、メールが何通か貯まっていた。
 友人は、朝ご飯を用意してくれた。薪のオーブンで焼いた自家製チーズパンと、目玉焼きとホットミルク。パンが、とても美味しかった。ありがとうございます。
 6時に出発なのだが、一般道に出るための急坂が、滑って登るのに苦労した。半島の横断道路を間違えると、時間通りに帰れなくなるので、俺の解るところまで案内してくれた。
 県道20号を、鹿児島市に向かって走る。登坂車線もあったけど、それほど苦労すること無く、ユニックは走ってくれた。
 道半ばで、船が欠航したことを知った。マリリンさんも、心配して電話をしてくれた。また笠沙に戻るよう勧められた。
 実際、2トンロングユニックに乗っていると、行ける場所が限られてくる。どこに停めても大きすぎるし、小回りが効かない。店が開く10時頃まで港でブログを書き、買い物に出かけた。そして、従業員さんにまた皮肉を言われるのを覚悟の上で、花や果実の苗木を買った。今度は、枯らさないぞ!
 と言うことで、笠沙に向かった。一度通った道なので、迷うこと無く山道に入れた。苗木などの荷物がひっくり返らないように、慎重にハンドルを切った。
 友人は、畑を開墾していた。雑草の根が、沢山混ざっており、それを手で拾っていた。以前開墾したときは草に負けてしまったらしい。手で完全に拾いきるのは難しいから、最初の一回はラウンドアップを使うと良いと、悪魔のささやきをしておいた。
 温泉に行った。俺よりだいぶ高齢だけど、とても可愛く愛嬌のある女性が、受付してくれた。民泊で受け入れる高校生を連れてこいと言うので、『若い方が良いですか?』と聞いたら、間髪を入れずに『若い方が良い!!』と返ってきて、笑ってしまった。
 『この地域は、バツイチがいっぱいいるのに、(あの女性は)なかなか離婚しない。』と言っておられたが、あの歳であれだけ可愛く愛嬌があったら、旦那さんも離れられないでしょう?また、旦那さんがいい人だから、あの人も魅力的なのかもしれない。
 埼玉から修学旅行でこちらに来た高校生を、迎えに行った。笠沙地区には、一クラスが来て、三人から四人ずつ受け入れ家庭に行き、いろいろな体験をするらしい。俺は部外者なのに、いろいろ話しかけられ、にっこり笑いかけられ、ちょっと恥ずかしかった。
 友人の家には、男の子が三人配置された。とても素直そうな高校二年生だった。教員時代を思い出し、懐かしかった。
 バーベキューの火起こしから体験始まりだ。経験者はいなかったが、なかなか筋が良く、火は勢いよく燃え上がり、炭に火が移った。
 肉の焼き方講習もした。
「ラーメンを茹でるとき、水の量をだいたい量り、沸騰したお湯に入れて約3分間という調理法を、皆だいたい守っているでしょう?もしも、水から茹でて10分も煮たら、どんな料理になるか、想像できるでしょ?
 焼き肉も同じで、ちゃんとした火力で、熱くなった網の上に乗せ、短時間で焼き、何度もひっくり返さないで焼かないと、不味くなるんだよ!
 火の通し方が、味を決定的に変えてしまうんだ!
と説明したら、みんな良く理解してくれたと思う。炭火コンロで焼くとき、火力が強すぎるときは、縁に置くと手を火傷しにくいとか、生活の知恵ってやつも教えることが出来たかな?
 その後、乗馬クラブの友人や馬術部の生徒が参戦し、楽しい夜を過ごせて、良かった。