時間に縛られる

 5時前には目が覚めていたが、あまり早く動き出しても、近所迷惑だ。じっと、6時まで待った。朝七時には、水道ポンプのスイッチを入れるのが日課だが、今は中間ポンプの自動運転が出来なくなっているから、子牛運搬後に、手動スイッチで上げることにした。
 薄暗い牛舎で、まず出荷牛のエサを与え、食べている間に他の牛の世話をする。トレーラーを引いてきて、応援の人と二人で、6頭の子牛をロープでつなぎ、三頭ずつトレーラーで運んだ。今日の牛たちは、とても落ち着いていて素直にトレーラーに乗ってくれた。

 渇水で水が出なくなったので、水道ポンプを作動させた。止めに行って、不具合を真面目に調査した。制御盤の、異常ランプが消えないのが、タイマーで動かない原因だ。エラーメッセージは、渇水と空転防止を示している。でも、水はたっぷり入っている。
 電源を長く切っておいても、復旧はしなかった。水槽の選択スイッチが、共用となっていた。???タンクは一つしかないのに、AタンクとBタンクが表示されていた。Aを選択しても、Bを選択しても、警告音が出た。どれも選択しないようにしたら、警告音が消えた。ランプも消えた。試にタイマーをセットしたら、ちゃんとスイッチが入った。明日から、正常運転が出来るかな?
 それにしても、家の裏にポンプ小屋がある俺ならともかく、決められた時間ピッタリにスイッチを入れに行く作業は、代わりにやって下さる人たちにとってはとても困難だそうだ。もう一度相談してみるけど、俺が島を留守にするとき、たぶんタイマーを切っていくことになると思う。早すぎても遅すぎても、ポンプを空転させてしまうからだ。

 久美太郎と茂福太郎を、哺乳ロボット小屋にデビューさせた。意外なことに、いつも柔軟に対応できていた久美太郎は、ロボットの乳首を頑として拒絶し、時間を置いて何回かチャレンジしたが、飲まなかった。それに対し、いつも手こずっていた茂福太郎は、すぐに覚えてくれた。久美太郎は、具合でも悪いのだろうか?
 二日前に、牛温恵からお産段取りメールが来たタノモシが、ようやく一時破水した。自力で産めそうだったので、他の作業をしながら見守り、一時間後に普通サイズの雄を出産した。難産しないと、子牛は元気である。初乳製剤のカプセルも、素直に飲みこみ、割と早めに立ち上がり、母親に吸い付いていた。
 生後4日ほど経った御岳太郎を、超早期母子分離して、夕方初めての授乳だ。一般的なホルスタイン用乳首だと、全く吸えなかったので、和牛用に取り換えて少し流し込んだら、ちゃんと吸ってくれた。良かった!