鹿児島上がり

 いつものように、崖の道を車で上り、海を見た。強風だった昨日とは違い、べた凪の綺麗な海だった。
 今日は、鹿児島に上がるつもりなので、従業員さんが来る前に、出来るだけルーティンワークを終わらせておいた。具合の悪そうな子牛には、注射もした。  一通りやれることを済ませ、ユニックに乗って港に向かった。
 島では、水道の本管を、新しいものに変える工事をしている。水道の本管と言えば、コンクリート補強した鋼鉄のパイプを思い浮かべるのだが、塩ビ管を使っていたので驚いた。戸数は少ないし、水圧もそれほど高くないから、大丈夫なのだろう。
 工事をしていて、家には車で行けなかったので、歩いて帰り、荷造りして出かけた。いつも、ギリギリなんだ。全長約6.6mのユニックは、約3万円の運賃だった。
 港に着き、ラーメン屋で遅い昼食を取る。替え玉付きで、850円。無駄な出費だけど、外食の無い島にいると、こういうものがとてもありがたく感じるのだ。しかも、北海道の辺境にいた俺は、豚骨ラーメンを食べたいと、ずっと思い続けていた。
 食後、病院に行った。まずは、診断書を書いてもらう。不思議な内容の診断書に、かなり高齢の医師も戸惑っておられ、何かを言われるのだけれど、滑舌が悪くて俺には聞き取れず、看護師さんが通訳してくれた。
 他にも、二軒の医療機関を回り、買い物をした。一泊二日航海で出来ることなんて、これくらいかな?