猛烈な豪雨だった。昨日のうちに、防風ネットカーテンを降ろしたのだけれど、強風はそれを吹き上げてしまい、子牛の寝床も濡れていた。無いよりはマシだったけど・・・。この強風のおかげで、船は欠航した。この船には、俺が注文した餌が2トン乗っている。片道日帰り航海になったら、その餌を受け取ることが出来ない。だって、ユニックは車検に出す為に、船に乗せなければならないから・・・。どうすれば良いのだ?
 波予報を見ると、明日の波は今日より高く、たぶん欠航するけど。
 
 大型扇風機は、こんな日でも牛床をを乾かしてくれた。降り込む雨を防ぐために、板を縛り付けた。雨の中作業していたら、ずぶ濡れになった。
 こんな嵐の日に、牛の発情観察に行っても、牛は藪の中から出てこないし、エサ箱は水浸しだし、発情行動はしないし、仮に発情を発見しても種付けが出来ない。と言うことで、午前中は、早上がりしてもらった。
 俺も、家に帰って濡れた服を着替え、映画なんぞ観て時間をつぶした。
 午後から雨は上がった。早めに牛舎に行ってみたら、牛温恵から駆けつけメールが届いた。何日か前にも、駆けつけメールが来たけど、その後収まってしまったおたけだ。確かに、今日は産気づいている。難産でなさそうなので、先に哺乳ロボット小屋の世話から始めた。
「もう、鼻先も見えてるよ。」
と聞いて、もう一度見に行った。すでに、二次破水もしていた。
 お産は、自然に生ませるのが良いという意見も多い。でも、自力では生めないほどの難産も、結構な確率であるのだから、俺はある程度の段階まで進んだら、助産するようにしている。それに、お産に時間がかかると、子牛の体力が失われ、ミルクを飲むのに時間がかかりすぎる。
 足がそれほど太くなかったから、産科テープをかけて、滑車を使わずに引っ張った。生まれたのは、普通サイズの雄だった。ノックアウト99という初乳製剤を飲ませ、人工初乳も飲ませた。元気が良い!