イタリアンライグラスの種蒔き

 雨は降っていないが、曇天のどんよりした空だった。海も静かで、風も弱かった。こういう天気は、意外に仕事がはかどる。
 久美太郎は、昨日から母乳を飲んでいる姿を、見たことが無い。難産だったせいか、モトツボクミコは始め全く子牛をなめなかった。産後6時間ほど経って、ようやく子牛を舐め始めたほどだ。一応、初乳製剤や、人工初乳を与えたので、免疫力は獲得できたと思うが・・・。今日も、飲んでいる姿を見せなかったが、ほ乳瓶を持って行っても、全然飲もうとしなかった。
 まず、濡れた牧草をひっくり返しに行った。採草地には、湾放牧地に若牛たちが、脱柵していた。柵内に呼び戻し、バラ線の補修をした。
 ほ乳ロボット小屋の敷きワラを、ボブキャットで引っぱがし、新しい敷き草を敷いてやった。
 午後から、テッターレーキを外して、ロータリーを取り付け、イタリアンライグラスの種を蒔く畑を耕した。湿っているけど、水はけが良く、耕すとフワフワになった。間髪を入れずに、フォード6600にブロードキャスターを取り付け、肥料と種子を混ぜて入れ、一緒にばらまいた。肥料はまんべんなく飛ぶのだが、軽い種子はその半分くらいしか飛ばない。だから、端っこにちゃんと播種するのは、肥料の無駄が多い。
 蒔き残しが無いように、丁寧に播種した後、鎮圧ローラーを取り付けて、土を踏み固めた。フカフカだと、すぐに水分が抜けて乾燥するし、根を伸ばしてもすぐに抜けてしまう。だから、鎮圧して種子の発芽と、根張りをよくするのだ。二回鎮圧をして、まんべんなく踏み固めた。
 終わったのは、真っ暗になってからだった。