イヤでもやるの!

 昨夜は、激しく振っていた。刈り倒した牧草があると、雨音には暗い気持ちにさせられる。
 うちでは、完全超早期母子分離だから、母牛はとても太りやすい。子牛にやるような嗜好性の高い牧草は、太りすぎるから母牛の寿命を縮めてしまう。多少、雨に当たった牧草でも問題ない。でも、雨に当たると悲しいものだ。
 10年前、牛飼いを始めたころ、俺の牛舎に3頭しか牛がいなかった。でも、俺はほとんど一日中牛舎にいて、牛を触ったり牛舎を改造したりしていた。その後も、頭数を増やすのに苦労したので、一頭一頭に手間をかけて高く売る努力をしてきた。
 こちらに引っ越ししてきて、頭数が3倍に増え、飼い方も施設もまるで違う環境に戸惑いつつ、不本意な飼い方に悩んでいた。でも、一年かけてようやく、自分の牛の飼い方に近づけたような手応えを感じつつある。多くなった頭数に、手間をかけるのは大変だ。妥協しなければならない所もある。でも、牛が人懐っこくなってきたのは、手間をかけた証拠である。
 でも、規模が大きくなったのに、手間をかけると言うことは、労働強化につながる。俺も従業員さんも、アミノ酸を飲み続けないと、筋肉痛が治まらない。俺はついでに、右が五十肩で、ときどき整体でメンテナンスしないと、痛くて仕事にならなくなる。
 二人でやるには、仕事が多いんだ。だから、やりかけの仕事が山積している。たとえば、大型扇風機だって、配線してしまえば、敷きワラ交換をほとんどしなくても良くなるはずだ。でも、着手できない・・・。

 今日は、雨の中、牛洗いと削蹄をした。
「今日やるの〜?」
あからさまに厭がる意見を無視して、強行した。雨の日にやると、ずぶ濡れになるし、いつもより汚れるし、臭くなるし、気持ちよくないし・・・。でも、晴れたら猛烈に忙しいから、今やるしか無いのだ。
 以前の子牛と違い、体が大きくなったから力は強いが、俺に対する恐れが無いので、捕まえやすい。でも、それを牛舎から引っ張り出すには、一人では難しい。
 とりあえず、一頭捕まえて、二人がかりで枠場に連れて行き、流水をかけながらブラッシングして、体にこびりついた運古を落とした。作業中、何度も汚れた尻尾で顔や頭を撫でられ、運汁の飛沫が全身にかかる。厭がられて当然の作業だ。あまり急ぐと、毛まで抜けてしまうので、水をかけながらゆっくり作業した。
 一頭終えて、先日洗った二頭を見たら、見るも無惨に汚れていた。降り込んだ雨で床が濡れてしまい、そこに寝たためだった。急いで、敷きワラ交換をした。従業員さんに、やり方を教えたら、操作をミスして堆肥舎の屋根に大穴を空けられた・・・(T_T)/~~~ ちょんと引っかけただけなのに、大げさに壊れるんだ。でも、そうやって覚えてもらうしか無いのだ。

 港に行ったら、いろいろ荷物が届いていた。豚肉8kgとか和牛とか・・・。
 午後から、3頭やった。
 うちの枠場は、出荷前の子牛には大きすぎるのかな?削蹄をしようと前足を上げると、暴れたときにひっくり返って、中で変な風にはまってしまい、起き上がれなくなってしまうことが多い。もうちょっとわくが小さければ、中にはまってしまうことが無いのかな?それとも、何かコツがあるのかな?
 ひっくり返ったあと、立ち上がるときに怪我をさせてしまうことが多いので、削蹄は苦手意識が強いのだ。
 今日は頑張りすぎたので、直立二足歩行が困難だ。整体に行って、腰を伸ばしてもらわないと・・・。