久しぶりの乗馬客

 機械が修理できても、意外に仕事は沢山残っているのだ。
 こちらも意外だったが、手こずらせた千代次郎の方が、壱太郎より先に哺乳ロボットを覚えた。でも、二人とも時間かかりすぎだぞ!
 昨夜発情行動が始まったしげよは、今朝もまだ発情していた。
 いろいろある中で、要望の大きかったホイルローダーのオイル交換を優先した。ドレンボルトが、異常なトルクで締め付けられており、ねじが変形していた。外すのに、一苦労だ。出てきたオイルは、ひどい汚れだった。洗浄の意味も込めて、夏用のオイルを入れしばらく動かし、それからオイルフィルターごと交換しようかな?
 とりあえず、集めてある牧草を、全部丸めた。ツユクサが沢山混ざった畑では、乾いていないためにすぐに熱を持つだろう。さっさと放牧地に置いて、食べてもらおう。
 放牧地に、修理なった不耕起播種機で、イタリアンライグラスを植えていたら、電話が鳴った。
『美人の彼女が待っているから、急いで帰ってきて!!』
どの彼女だろう???俺の脳裏を、幾人もの美人が・・・浮かぶわけないか(*^_^*)
 ファーガソンを飛ばして帰ったら、バイクで島内を廻っていたカップルの姿が・・・。馬に乗せて欲しいとか。ちなみに、二人は乗馬クラブのオーナーと会員様だった。どうぞ、乗ってください。ついでに、子馬ソックスの鞍乗せ調教もお願いします。
 馬という生き物は、とても誇り高い。自分の能力を出して、それを人が認めてくれることは、馬にとって喜びなのだ。
 実際に乗ってもらったが、ポパイは最初からとてもやる気一杯だった。やる気が空回りして跳ねるのではなく、周りで跳ね回るソックスを無視して、騎乗者に集中してくれた。騎乗者の腕も、ポパイの調子も申し分なかったので、走ってもらった。ソックスが伴走する中、ポパイはプッツンすることなく、いつも通りの安定した走りを披露してくれた。自分が調教した馬が、良い仕事をしてくれると、嬉しいものだ。ポパイも、俺や騎乗者が喜んでくれたことを、とても誇らしく思っているのが、精悍な顔つきで解った。
 ソックスの調教は、ホルターブレーキングまでだ。もくしを着けて引っ張ると、逆らわずに引かれ、人の指示に従うところまで調教できている。さらに、普段の生活で、人間は嫌なことをしない生き物と思っている。
 ホルターを着けようとすると、ソックスは自分から進んで着けさせた。背中や足を触り、ソックスの警戒心を少しずつほぐしていく。背中に飛び乗っておられたが、ソックスはそれほどビックリせずに立っていた。回数を増やし、ソックスが動じないことを確認して、鞍付けをした。あら乗れちゃった!人を信じ、多少のことでは動じない馬は、良い乗用馬になれる素質がある。この子も、頑張れは良い馬になれるかな?

 夜は、お礼に黒毛和牛の焼き肉だ。島に食堂があると信じて、あまり食料を持ってこなかった彼ら・・・。鹿児島から食料を運んだら、島にお金を落とせないから、訪問しても喜ばれない!俺ととても考えが似ている。彼とは、馬が合いそうだ。彼女は、英語が専門で、大きな夢を持っていた。叶うと良いね(^_-)-☆