首の皮一枚

 本来なら、授業に行く日なのに、島で仕事をしているのは、居心地が悪い。冷凍パンとミルク無しコーヒー(苦手である)の朝食を取り、仕事に出かけた。
 本当は、従業員さんに十分な休息を取らせてやりたかったが、俺が島にいる時間が短いので、半日休ませるので限界だった。
 時折、傘が必要なほどの雨が降った。ルーティンワークをしつつ、合間に病牛の治療をしたり、ほ乳ロボットの記録をするプリンターを修理したり、ほ乳ロボットのミルクを溶かす場所を洗ったり・・・普段はなかなか出来ない所を、一つずつ片付けていった。

 役場が開きそうな時間のちょっと前になったら、講習を欠席する連絡や、その埋め合わせが出来ないかといった質問をした。係の人は、調べてから連絡しますと言ってくれた。数時間後、講習全体で二日までなら、欠席しても最後の試験を受ける権利があるから、明後日(最終日の実習)には何とか来るように言われた。天候は、明日は船が出るのも五分五分で、飛行機も風向きが北西に変わるから着陸しやすいが、強風は残る。帰れるかどうかは、微妙なところだ。
 欠席が決定している、今日と明日の授業については、それぞれの先生の所に行き、どう埋め合わせをするか相談するように言われた。全体の出席日数が足りても、講習では一教科でも落としたら、免許は与えられないのだ。
 俺に出来ることは、明日の朝七時に船が出るかどうかを確認し、出ない場合は出来るだけ早い時間に飛行機を飛ばしてもらい、タクシーを走らせ午後からの授業に顔を出す。猛烈にお金がかかる方法だが、完全に受講できない授業は、一日分ですむ。
 船が出る場合は、昼過ぎに島から船に乗り込み、夜九時過ぎに鹿児島に入港。明後日の朝、国分に走り授業に出る。
 船が出ようが出まいが、飛行機とタクシーの方法を選ぶべきなのかな?船が出ないと、島に帰りたい人がいるのでその人とチャーター料を折半できるが、船が出る場合、飛行機を利用するのは俺一人なので、行きと同じ八万円かかる。空港から畜産試験場までのタクシー代と合わせると・・・。

 調子の悪いユニックに、エンジンオイルを足してみた。車検の時に、交換してもらったし、それほど使っていないのに、なぜこんなに減るんだ?