親諸子の行事 

 今日は、お盆の柱松を立て、親裵子の魚を捕るという、至上命題があった。従業員さんが居ない中、プレッシャーを感じていた。
 今朝は、ポンプのスイッチを入れた後、サマンサと二人で、大急ぎで餌やりをした。その後、俺一人で柱松の竹を縛る、若い竹を切りに行った。その後、柱松を立てる砂浜に移動し、年配の方の指導の下、乾燥させた竹の束を、若い竹で縛って太い竹の柱を作り、それを高く立ち上げる。
 作業終了後、一旦家に帰り、軽く腹ごしらえをしてすぐに、港に集合した。
 漁師さんの船に乗り込み、ポイントへ出発!港の外は、2mくらいの波があり、ときおり大きな波も混じっていた。
 最初のポイントは、昭和硫黄島だった。だが、海中に入った俺には、獲物になる魚が居るようには見えなかった。うねりが高く、岩に近づくとシャンパンシャワーとなって、何も見えないし、潮が速い。
 次のポイントは、潜水艦のような岩が突き出た所だった。岩陰の波の静かなところに入ったが、大岩が転がっていて、下に隙間があれば、イシガキダイが潜んでいそうだった。意外に深い。
 一緒に潜った人が、大きなクロダイ(メジナ)を追って潜っていた。俺も、別な穴があることを期待して、潜ってみた。岩の隙間はあり、大きな魚が潜んではいた。でも、それは俺が獲物とする種類の魚では無かった。諦めて浮上しようとしたら、斜め後ろから大きなハタが・・・。大急ぎで4mの銛を構え直し、よく狙って・・・命中!ゆっくりと浮上した。息が苦しい!とりあえず、獲物をしっかりつかんで、えらを取りながら水面で息を整える。
 獲物を改めて見ると、このあたりでアカジョウと呼ばれる遊泳性のハタだった。60cmはある。銛先が貫通しておらず、ナイフが無いと回収できなかった。船に上げて、銛先を取ってもらった。
 本来ならば、俺はこれで満足だ。二匹目は要らない。でも、今日はみんなが食べる分を捕る義務がある。食ったばかりの腹で、何度も潜水と浮上を繰り返したので、俺はすっかり気持ち悪くなっていた。ちょっと気を緩めると・・・。
 三カ所目に移動した。ここは、三カ所中最も魚影が濃い。
 岩の割れ目に、45cmクラスのクロダイメジナ)が群れていたが、4mの長い銛は穴突きには適さない。
 別な岩の下に、大きなメジナが入っていったので、穴があると思って潜ってみたら、穴はあり、メジナより大きな魚影があった。クチジロ(イシガキダイの大物)だ!急いで銛の照準を変更し(長いから時間がかかる)、発射!!
 命中した銛は、岩の下に引き込まれていった。一旦息継ぎに上がろうかと思ったが、せっかくの獲物を失くす危険を冒したくなかった。幸い、魚の抵抗はすぐに無くなり、岩の穴から丁寧に引っ張り出し、浮上を始めた。あぁ、なんと水面が遠いこと・・・。
 もういいかなと、満足しながら水面を漂っていたら、コクハンアラが海底に居た。振り返ると、サマンサが浮いていた。岩陰の波の静かな場所だから、俺の後ろをついて泳げば、大丈夫と言われたらしい。改めて潜りなおしたのだが、コクハンアラは打ち損じてしまった。
 その後、たらたら泳いでいたら、
「ヨネちゃん!あの辺に瀬があるから、そこに大物がいるはずだよ。」
と教えてもらった。
 行って見たら、確かに魚影が濃い。
 大きなカスミアジがやってきた。ちょっとだけ、俺に興味を持っている。でも、射程外だ。一発空撃ちをしてみたら、体色を青く輝かせて俺に接近してきた。急いでゴムを弾き直したが、ちょっと遠すぎた。もうちょっと、愛想良くしようね(^_-)-☆
 また、遊泳生のハタを発見。しばらく水面を追跡した後、一気に潜って仕留めた。
 獲物をセンターの炊事場において、牛舎に急いだ。
 お盆で帰省している人のお子さんなどが、牧場を見学に来ることが多い。3日ほど前は可愛い女の子だったが、今日は元気な男の子だ。ローズに乗り、ポパイに触って、帰って行った。

 夕方は、親裵子の会だった。昼間仕留めた魚の刺身を食べる。
 その後、柱松に松明の火を投げるのだが、俺は松明を用意する暇がなかったから、これは見学に回った。去年は、火がつかなかったのだが、今年はよく燃えて明るくなった。