知覧旅行!

 船は、欠航だった。
 荷物をまとめて、いつも使うホテルに帰った。フロントに荷物を預け、山形屋バス停に急いだ。すでに気温が上がっていて、急ぎ足になると、汗が噴出した。
 武家屋敷と特攻平和会館を見学するため、知覧行きのバスに乗り込んだ。路線バスって、意外に飛ばす。普段、バスに乗りなれない俺は、ちょっと驚いた。バスに乗れたのは、サマンサが調べてくれたおかげだ。
 武家屋敷のバス停で降りた。見学用のチケットを買い、レンタサイクルを借りた。今日の自転車は、電動アシスト無しだ。歩いて見学している人がちが、颯爽と風を切って走る二人を見て、羨ましそうだった。武家屋敷は、意外に距離があるのだ。綺麗な生け垣や、庭園を見て回っり、美味しいお茶や茶菓子を戴いた。
 次の目的地は、特攻平和館だ。坂の上にあり、電動アシストも変速機も無いママチャリでは、結構きつかった。
 電動アシストが欲しいと思いながら、汗だくになってようやくたどり着いた。ちょうどお昼だったので、釜飯と蕎麦のセットを頼んだ。いったいどうやっているのか解らないのだが、あまり時間を置かずに出てきた釜飯は、まるで炊きたての様に美味しかった。蕎麦も、腰があって美味かったなぁ。こういうところで手を抜かないなんて、鹿児島の観光地、レベルが高いかもしれない。
 特攻平和会館は、入場料500円。模型の特攻機や、海底から引き上げられた機体、知覧から特攻した人の遺影と遺書などが展示されていた。特攻の記録映像や、スライドと説明などを受けているうち、いろいろ感じるものもあった。サマンサは、遺書を熱心に読んでいた。声をかけるのをはばかられるほどに・・・。
 すぐ近くに、公共の温泉があったので、そこで汗を流した。石けんが無かったので、ただ汗を流しただけ・・・。
 自転車に乗りながら、
「このバスに乗りましょう!」
 アイホンで検索中のサマンサが、力強く意見した。飛ばせば乗れる時間で、それを逃すと、一時間半待たなければならない。
 帰りは、下り坂なので軽快だった。自転車を返し、バスにはちゃんと乗れた。めでたしめでたし!