ロールの回収作業

 ずっと晴れだった天気予報が、突然明日雨になっていた。急いでロールすると共に、ロールを小屋に回収しなければならない。今日は、廃用牛の搬出もあるので、一人では絶対に間に合わない。応援を要請した。
 応じてくれたのは、小学校の先生だった。もう一人、若い女の先生も同伴だ。力仕事をするのに、女性って思うだろうが、男は女性に『頑張って!』と言われると、通常の三倍も力を発揮するものだ。
 まず、乾草庫の一角を空けるため、中のロールを機械の手が届くところまで、転がしてもらった。俺はそれを受け取り、雨をよけられそうな場所に移動させた。

 次に、俺は一人で昨日の残りを、レーキして丸めた。二人にはユニックで来てもらい、完成したロールを、俺がベールグリッパーで荷台に積んだ。二人は牛舎に帰り、切り草小屋の中にロールを並べてもらった。仕事は、遅くったって良いんだ。俺一人では収穫作業と運搬作業を、同時進行なんて出来ないんだから・・・。それでも、23個のロールを、切り草小屋に運んでくれた。
 船が入港する時間が差し迫っていたので、廃用牛の運搬を始めた。
 足の悪いオレンジ22番は、一昨日から姿を見せなくなっていた。気配を察知したのかもしれない。白1番のかねまつも、いつもは抵抗しないのに、なかなか引かれなかったらしい。他にも、興奮して跳ね回ったり、カバの撒きぐそのように、尻尾を振り回しながら下痢を撒き散らし、従業員さんを全身○○まみれにしてしまったり・・・。いつもと違う反応だった。みんな、ここを離れたくないんだ。
 ロール作業が終わったので、俺と男の先生で、ロール運搬を再開した。
 男二人だと、色気は無いのだが、作業はやっぱり速かったりする。俺は、残りの数から逆算して、仕事のペースを決めるので、あまりに速いペースに驚いておられた。1.5倍の体重差は、伊達では無いのだ。後半、応援団の女性も来てくれたので、作業速度はさらに上がり、午後は56個のロールを運んだ。先に刈り取った分と合わせて、98個の良質乾草を、倉庫にしまうことが出来た。この草地では、雑草がまだ残っており、それを丸めるとさらに十数個のロールが出来るだろう。
 仕事を終え、推定体重45+αkgの女性が、山羊のジョンにまたがったら、ジョンはしっかり立っていた。意外な強さに、驚いてしまった。