ワイングラス

 先日屋久島に行って、ワイングラスをお土産に買ったのだが、自分のためには何も買わなかった。
 夏になって、冷たい飲み物をガラスのコップに入れると、結露でテーブルが激しく濡れる。ところが、屋久杉のワイングラスは結露しないらしい。なるほど、木の断熱効果でそういうことになるのだ。
 断然欲しくなって、ネットで調べてみたら、屋久杉と言いながら年輪の幅がとても広い材質のものを扱っていた。俺が現地で買った物は、グラス一つに百本以上の年輪が刻まれていた。
 屋久杉は、樹齢千年以上のものとあるが、薄暗い森の中でゆっくりゆっくり成長して、年輪の幅が極端に狭いのも特徴だ。普通の杉と同じ広い年輪だったら、わざわざ屋久杉と銘打ったものを買う意味が無いと思っている。やっぱり、自分で買いに行くしか無いのかな?
 雨も降っていないことだし、湾に紛れ込んだ隣の牛を捕獲することにした。
 今日は二人がかりだ。でも、まともに綱引きをしたら、元気な若牛にはかなわない。牛が逃げそうな先に立って、牛が逃げる速度を落としてもらえたら、こちらにも勝機がある。
 声をかけたら、隣の牛を先頭に、一つの群れになってみんな走って帰ってきた。餌のところにまっすぐ向かう彼女の後ろから、ロープを持って近づくと、ダッシュで逃げ出す。うちの牛には、これほどスタートダッシュが速い牛は居ない。餌が欲しいので、すぐに戻ってきた。今度は、ちゃんと打ち合わせをして、ちょっとだけ速度が鈍ったところで、ロープをかけた。でも、ここには巻き付ける支柱が無いんだ。あっという間に、振り切って逃げられた。
 俺の牛なら、ロープをつけたままでも気にしないのだが、人の牛ではちょっと問題である。
 再び帰ってきたところで、そっと近づいてロープを拾い、逃げそうな方向からもう一人が牽制し、何とか鼻輪を捕らえて捕獲成功!