揺れる船

 朝から、激しい雨が降っていた。こんな雨の中、トランクを持って歩くのは嫌だなぁと思っていた。
 島から電話があり、猛烈な豪雨で、牧場に行く道が危ないとか・・・。先日の台風で一部崩れて通れなかったのだが、あの時俺が機械で押して通れるようにしたまま、まだ補修していない。大雨が降ったら、また崩れてもおかしくない。いつもそこを利用している先輩の意見を聞いて、雨が小降りになるまで待ってもらった。
 タクシーは、探していると来ないものである。
 錦江湾内は穏やかだったが、湾外に出たら船は揺れだし、船首が波を上から叩くような動きをしていた。外は、滝のような雨だ。酔わないためには、寝るしかないのだ。俺の隣に、とても綺麗な女性が来たので緊張したのだが、二言三言言葉を交わしただけでさっさと寝てしまい、何も発展は無かった(あたりまえなんだが・・・)。

 牧場は、拭き込んだり流れ込んだりした雨で、床が濡れていた。根本的に、吹き込み対策をしなければならない。明日は、敷き藁を交換してやらないとダメだ。
 先日の台風では、大量の雨が振り込んだ熱気抜きの穴からは、今回の豪雨ではほとんど降り込まなかった。

 俺が出かけている間、牛温恵が働いていなかった。理由は、子牛がコンセントを抜いてしまい、それを放置したためにバックアップ用のバッテリーが上がり、さらに牛からの体温信号を受ける子機への電源用コンセントの線が、腐食して断線していた。
 こういうのを、電話で指示を仰ぎながら、一つ一つ解決していく。さすがに、コンセントの電線が切れてしまうとは、予測できなかったようだが・・・(^_^;)