6月市場

 とりあえず、早く目覚めた。シャワーを浴びて、昨日買ったパンを食べ、伊集院行きの貸し切りバスが出る役場に向かう。
 今日の相場が下がることは、事前に予想がついていた。問題は、その影響をいかに少なく出来るかだ。相場が下がるとき、下げ幅が大きいのは人気の無い牛や、小さな牛だ。先月のうちに出せる牛は出したので、先月は7頭だったのに、今月は2頭しか連れてきていない。成長の遅かった子牛は、来月に回したのだ。
 競りが始まってみたら、やはり安い!繁殖に使えそうな雌も、全然価格が伸びない。良い去勢が、40万円台の前半しかしない。厳しい相場だ。
 売る牛が2頭しか居ないので、今日の俺はヒマであった。一生懸命、市場調査をした。
 午後から、ようやく俺の牛が登場である。成長がちょっと良くない姫太郎は安めで、良い茂三郎は高めで売れ、平均40万円だった。午後から、相場が戻ったような気がしたが、気のせいらしい。
 ピンチはチャンスに変わるものだ。
 今日の相場は、牛を売る人にとっては辛いが、買いたい人にとっては嬉しいのだ。今日なら、良い子牛を安く手に入れることが出来る。みずほ3(百合茂←勝忠平←忠福)という雌を買った。3月に買ったら、55万円は下らない牛だが、お安く買うことが出来て良かった。
 いろいろ事務処理をしたあと、アミュプラザに行って、映画『岳』を観た。山岳救助隊の映画だが、楽しく観ることが出来た。山をやっていた俺には、突っ込みどころが満載だったが・・・。
 アミュプラザの地下は、誘惑がいっぱいなのだ。島では絶対望めないような、美味そうなお菓子やおこわなどを売っていて、全部買って帰りたくなる。