種まき準備

 貴重な、梅雨の晴れ間である。この機会を逃したら、夏用の牧草の種を蒔けない。さらに、堆肥もこの畑に撒かなければ、秋まで使いようがなく、堆肥舎が空かない。背水の陣で挑んだ。
 ここの堆肥舎は、ウナギの寝床みたいに、両側壁の細いものだ。切り返しなんて出来ない。にもかかわらず、堆肥はよく発酵しており、繊維も分解してマニアフォークでは運べない。土砂バケットでマニアスプレッダーに積み込むのだが、茶色い粉末が飛び散って、頭からかぶることになる。パフパフに乾燥しているのだ。
 瀬棚時代でも、俺はできるだけ完熟堆肥を使いたいと思い、切り返しをまめにしていた。でも、こんなに完熟して乾燥させたことは無かった。酪農家の堆肥なんて、持ち上げると汁が垂れてたっけ・・・。完熟のほうが、畑には良いんだけど・・・。
 借り物の、1500kg積みマニアスプレッダーで、20回も往復しただろうか?一応、完熟の堆肥はほとんど散布できたが、俺は体中堆肥の粉末だらけだった。
 マニアスプレッダーを、高圧洗車機で洗車して、返却するまで小屋にしまった。

 ロータリーを取り付け、耕しに行った。このロータリーを使うと、トラクターがオーバーヒートしてしまう。抵抗が大きいのかな?そんなに深耕してないんだけど・・・。外周を一周しただけで、時間切れ・・・。7時過ぎても、まだ夕日が沈んでいなかった。日が伸びたなぁ。

 足元には、なぜか3頭の犬がいる。
 ちび猫たちは、うちの犬たちには最初から警戒していなかったのだが、この犬の殺気は感じるようだ。でも、慣らさないと、農業用猫としてデビューできないのだ。