屋久島に行った

子供も頃から、遠足の前の日は、嬉しくて眠れなかった方だ。今朝も、4時前から目を覚まし、合わない枕をもてあましていた。眠っていなくても、目をつむって横たわっているだけで、疲れは十分取れるものだ。
 5時になって、あきらめて起き出し、朝食のパンを食べて、最終荷造りを始めた。すぐには使わない荷物を、キャリーバッグに入れて、フロントに預けた。
 港に向かい、屋久島行きのトッピィーに乗り込む。
 水中翼船に乗るのは初めてだ。7600馬力の強力なガスタービンエンジンがうなる。船体は、水中に沈んだ翼の揚力で浮き上がり、ほとんど揺れずに滑るように疾走した。時速80kmらしい。指宿に寄って、屋久宮之浦港に着いた。
 とりあえず、公共交通機関が発達していない屋久島では、レンタカーを借りる必要がある。軽自動車を借りた。早めの昼食を取り、早速島一周ドライブだ。道が狭く、カーナビは地名が書いて無くて、島の輪郭に道の筋を書いてあっても、あまり意味が無いと思った。
 普通に走っていると、名所らしきものがどんどん後方に過ぎていく。ナビ付きなのに、地図を見ながら走ることになった。
 中間ガジュマルと言うところに寄ったら、おじいさんが人懐っこく寄ってきて、話しかけた。こっちから見た方が、木が大きく見えるとか、○●のロケがどうしたとか、滝を沢登りしていた人が三人も死んだとか・・・。きっと寂しいんだね。
 屋久杉自然館に行った。今日の、メインディッシュだ。
 俺は、ニュージーランドのカウリという木にも興味があり、実際に生えている木を見てきた。樹齢2000年の大きな木は、それだけで神々しさを感じるものだ。だが、材木としての価値が高く、わずか200年ほどの間に、ほとんど伐採されてしまい、今はわずかに残った木が保護されている。
 屋久杉も、同じような運命をたどっていた。江戸時代に、50%以上の屋久杉が伐採され、明治・大正・昭和と、機械力を使って大規模に伐採が進んでいる。現在残っているのは、こぶや空洞があって、材木としての価値が少なかったものらしい。