ロール作業
いつもより早めに出勤し、子牛にエサをやってしまう。
まず、ブロードキャスターを付けクボタに、肥料を積み込んだ。一回砕土した畑に、肥料を散布する。北海道の広い牧草地で使うために、扇形に広く綺麗に肥料をばらまくこの機械は、実は５万円で買った中古品だ。広く飛びすぎるので、今日散布する畑のように狭いところには向かない。端っこにも散布しようとすると、竹やぶにまで散布してしまうのだ。遠くまで飛ばないよう、地面すれすれまで下げて使用した。
ロータリー二回目だ。砕土したため、土が柔らかくなっていて、ロータリーが土に潜り込み、深い耕運になってしまう。深くまで砕土すると、土は柔らかくなるのだが、トラクターには負担がかかりすぎる。あっという間に、水温計を振り切ってしまった。一旦帰り、クーラントを足した。
一応、畑らしくなった。本当は、三回ロータリーをかけると、フカフカの綺麗な畑になるのだが、植えるのは牧草だし…。それでも、引き受けたからには、それなりに畑らしくないと、恥ずかしいものだ。
イタリアン畑に、テッターをかけた。いきなりレーキをと思ったが、地面についているところが、しっとり濡れていたからだ。ひっくり返してみたら、以外に湿っぽい。
今日は、条件付き航海で、硫黄島には寄らない可能性があった。牧草の種をまく人が乗っていたので、港に迎えに行ったら、フェリーみしまは硫黄島港を素通りしていった。種まきの人は、否応なく黒島に連れて行かれ、明日鹿児島に帰されるのだ。多分、種まきはゴールデンウィークかな？畑の準備はできているので、一安心だ。
さっさと牧場に行き、レーキをかけた。片路走れば、二列の草が集まるテッターレーキで集めても、牧草は相当厚くなってしまった。この機械も大きすぎて、狭い畑で使うものではない。あっという間に終わってしまうけどね。
昼休みの間に、フォードのラジエターを洗って、新しいクーラントを入れた。ラジエターキャップも、新しいものに変えた。
フォードでロールベイラーを引いて、牧草を丸めに行った。狭い畑なのに、あっという間にベイラーがいっぱいになった。次々ロールができる。負荷が大きいので、作業ギアを２段落とし、ゆっくりやっていたのだが、突然ピックアップタインが回らなくなった。調べてみたら、チェーンが切れていた。ピンが変形し、ギアのベアリングも抜け落ちている。
意外に重症だったので、牛舎に帰った。草地で部品を落としたら、発見はとても困難である。
まず、抜け落ちたベアリングを打ち込み、ギアを適正な位置に配置しなければならない。グリスを縫って、普通に打ち込んだら、クリップを止める溝まで入らない。悩んだ末、大元から分解し、金属が削れたカスなども綺麗に拭き取り、グリスを縫って打ち込み直す。今度は、うまくいった。
次は、切れたチェーンである。
接続するコマがあれば、すぐに使える状態だ。チェーンをつなぐコマは、割といつも常備しておくものだ。ところが、今回は見当たらないので、雑品のロールベーラーから取り外すことにした。錆びて開かない蓋を、バリで強引に開ける。見つけて取り外したコマを使って、チェーンをつなごうとしたら、ワンサイズ大きかった。もう一段細いチェーンを探す。もっと奥深いところにあった。苦労して邪魔な蓋をこじ開け、コマを探したら、エンドレスチェーンだった。
コマさえあれば、すぐに作業が再開できる。現役の機械から、一時的に借用することにした。
すでに５時を回っていた。焦って仕事をすると、機械を壊しやすい。さらに一段ギアを落とし、ゆっくり作業する。
ところが、以前修理したことがある、ＰＴＯシャフトに着いたクラッチが滑り始めた。これは、一度滑り始めると、どんどんすり減って滑るようになる。保管してあった、クラッチ無のシャフトを取りに行って、交換した。クラッチが無いと、大きな負荷がかかった時、もっと重要な場所を壊してしまう恐れがある。エンジン回転を抑え、負荷がかかりすぎたらエンストするようにした。
とりあえず、エンストすることもなく、３０個のロールができた。
草の含水量が多いので、このままでは熱を持ってしまう。
ロールベーラーを取り外し、ラッピングマシンを取り付けた。ラップフィルムがあるか心配だったが、十分な在庫があった。
ちなみに、フォードには作業灯も無く、ヘッドライトも着かない。懐中電灯を持つ。
牧草のロールを、ラップフィルムで包んでいく。空気を遮断し乳酸発酵させて、カビを防ぎ栄養価を増すのだ。
ラッピングマシンは、強風の中での作業を、考慮していない。フィルムが風になびき、変なところに絡まって、そのたびトラクターを降りなければならなかった。でも、焦らずゆっくりやっていれば、いずれ終わりは来るのだ。９時ごろ、ようやく終わったのだ。
空にはオリオン座やシリウスが輝き、ときおり流星が輝いては消えた。雨の予報なんだけどなぁ。
