野焼き

 朝から、大浦の牛を、妊娠鑑定してもらった。朝一番で行って呼び集め、連動スタンチョンで確保しておく。黒島崎から勝手に移動してきたため、頭数が多すぎてスタンチョンの数が足りない。でも、白の5番のように、普段は入らない牛が入ってくれて、助かった。
 雨が降るとぬかるむスタンチョン前だが、晴天が続いたので固く乾いていて、歩きやすかった。一応、ここには客土して、水が溜まりにくいよう傾斜をつけた。
 検査を受ける牛は、俺が横に立って尻尾を握り、獣医師が直腸検査をする。何頭も並んだ牛の間に入るので、俺は時々足を蹴られる。でも、乾いていると汚れないので、ちょっとうれしい。何頭かの牛が妊娠していて、何頭かは空胎だった。

 休耕していた草地を、野焼きすることになった。何日か前に刈り払い、3回ほどテッターでひっくり返している。時間が許すならば、あと数日乾かしたほうが良いのだが、あまり乾きすぎると、火の勢いが強すぎて、山火事になる可能性が高くなるので、微妙な判断を迫られるのだ。野焼きは、一人では無理なので、仲間の牛飼いさんにも来てもらった。
 まず、外周に防火帯を作った。昔使っていたシングルレーキが懐かしいよ!あれがあれば、簡単に・・・。えっ?機械にばかり頼るなって?
 仕方なく、牧草用のフォークで、雑草や竹を寄せていく。竹藪に火が移ったら、手の施しようが無い。念入りに防火帯を作った。
 300リットルほどの水を、タンクに用意してもらった。いざ、点火!
 メラメラ!火は、勢いよく燃え上がったのだが、草が完全に乾いていないので、燃え広がる速さは、それほどでもない。徐々に範囲を広げて行った。北側の竹林脇を終えたので、南側に移動してみた。こちらは、立ち枯れした雑草が、完全に寄せきらないで残っていて、これを伝って火が広がりやすかった。ちょっと目を離したら、あっという間に防火帯を突破してしまう。そのたびに、青竹の葉で叩いて消し止めた。一か所、やばいところがあって、叩いても火が消えない!なりふり構わず、大声を出して人を呼び、何とか消し止めた。ふぅっ!
 焼くことで、完全な防火帯ができたので、明日、内部の雑草を燃やそう。