4月市場

 セリ当日は、小雨が降っていた。傘を持っていないので、濡れたまま役場に歩いて行った。
 子牛を捕まえて、ロープで繋ぎ、番号と体重を書いた札を取り付ける。そして、順番を待つ場所に繋ぎ、ブラッシングして綺麗にした。
 雨は、土砂降りになっていた。湿度が高いと、目が乾燥しないし、埃が立たなくて良いのだが、暗いせいか視力がとても悪かった。老眼が酷いという言葉に怯え、最高視力を求める治療をためらったのを悔やまれる。まだ、視力が確定した訳では無いけどね。
 鹿児島中央のセリは、畜主が自分の子牛を引いて、セリ場に出る。
 俺の目を保護する眼鏡は、一見サングラスで、このような会場にしていくと、とても柄が悪い。入場直前に、外した。
 市場相場は、先月ほど良くない。黒毛和牛は、人々が幸せでお金にゆとりが無いと、売れないものだ。大震災の影響で、日本の景気が低迷し自粛ムードの今、枝肉相場が下がっているのだろう。やっと口蹄疫による価格低迷から脱出できたと思ったのに・・・。それでも、悪くない値段だった。去勢の多くが、40万円を超えていた。
 俺の牛も、去勢は40万円を超えたが、相場に救われた感じだ。もっと大きくしよう。