真冬のロールベーラー


 港のコンテナから、ミルクとフスマや大豆カスを400kgほど車に積み込み、牧場に出勤した。
 あかねがまた脱走していたが、別に逃げるでもなく、その辺でウロウロしていた。自分の部屋に誘導してやった。ついでにせんも脱走していた。せんは、人工哺乳をしているから、俺の顔を見て寄ってくる。俺は、そんな人懐っこい牛が好きだ。12頭もの人工哺乳は、とても大変なんだが・・・。
 今日は、種子島からロケットが打ち上げられる日だったが、雲が多くて見えそうになかったから、農作業に専念した。雑草にテッターをかけ、ロールベーラーで巻き取った。
 丸めた雑草は、牧草が少なくなった小屋下放牧地と灯台下放牧地に運んだ。食べかすが多いが、喜んで食べる。それにしても、真冬にベイラーを使うとは思っていなかった。
 元十郎を、離乳した。母親のスズコは、コトブキが吸っても怒らなかったのだが、元十郎が居なくなったら、コトブキを受け入れなくなった。コトブキの母、ハルカは乳量がとても少ないのだ。どうしようかな?
 苫斗太郎を、制限哺乳することにした。ところが、母親のトマトは、なかなか捕まらない。ロープをかけると、俺に向かって走ってきて、そのまま振り切って逃げる。