電線・パイプの掘り出し


 トマトが、また脱柵して牛舎の前を彷徨いていた。
 あかねがまた脱走していたが、なぜか一つ飛ばした部屋に、テレポートしていた。

 牛飼いの仕事って、エサやり等のルーティンワークだけではなく、柵修理のようなメンテナンス、哺乳ロボットや
連動スタンチョンのような新しい設備の設置、遺体埋葬など突発的事態の収拾、牧草や雑草の収穫作業など、多岐に及んでいる。俺がルーティンワークだけに忙殺されていては、牧場の仕事は前に進まないのだ。
 まずは、ユンボを返さなければならない。一生懸命丁寧に洗った。泥がほとんど落ちたと思い、返却のために走路脇まで動いたら、キャタピラの後ろに着いていた泥で、また汚れてしまったのだった(T_T)/~~~
 哺乳ロボット小屋に向かって埋めてある電線と水道管を掘り出した。
 電線は、プラスチックのホースの中を通してあったが、100ボルト用の電線を一緒に通そうと思って引っ張ったが、途中でビクとも動かなくなってしまったのだ。掘り出してみたら、途中でホースが潰れていた。次は、単管(鉄パイプ)の中を通そう。
 水道管は、途中で潰れていると思って調べながら掘り出したが、どこも潰れておらず、切っても水が出なかった。結局、大元まで開けてみたが、大牛舎のコンクリートの中から出ているパイプの元まで開けても、水は出なかった。
 コンクリートの下に、鉄の水道管が通っていて、これがどこかで詰まっているのだ。10年近く使っていないそうなので、錆びてしまったようだ。パイプの中に、太くて強い針金などを通して突けば、もしかしたら開通するかも知れないが、穴が狭くて通せない。もっと盛大に、コンクリートのタタキを壊すか?
 トマトが出てくる場所を突き止めたので、支柱、バラ線、打ち込み器を持って出かけた。
 かなり広範囲で、支柱がボロボロになっていて、バラ線も錆びて切れていた。支柱を刺し直し、バラ線を引っぱって支柱に固定していった。バラ線は重いし、引っ張っていると服や手に絡まって、破れたり傷つけたり・・・。ひとりでやる作業ではない。荒れ放題の竹藪が、メガネの顔を叩き、あまり気分よくない。でも、そのエリアの柵は修理できたので、明日からはたぶん脱走できないはずだ。
 オレンジ43番は、今日も発見できなかった。竹藪の中で出産し、子供を守るために隠れているのなら良いのだが、難産で母子共に助からなかったということも考えられる。とりあえず、探し続けるしかないが・・・。