嵐の中の飛行機

 朝は、嵐の前の静けさだったのかな?穏やかな朝だったが、今日の船も欠航するという放送が入った。
 牧場に登る崖道から見た海は、とても静かだった。今日の船が出ないことで、生協が届かず、おせちを作るのに苦労する人も居るだろうと思った。
 昨日離乳したはずのセナが、部屋から脱走して母親と放牧に出ていた。再び捕まえ、部屋に入れたあと、半日紐で繋いでおいた。セナとりんは、なかなか食欲があって、見ていて嬉しい。
 元十郎やことぶきもよく食べるようになったのだが、誰がするのかエサ箱に尿を垂らす者が居て困る。ソノコかな?
 下痢をしていた苫斗太郎とるるを捕獲し、抗生物質を注射し、バイコックスを飲ませた。ついでに、耳票も着ける。放牧中の子牛は、いろんなところに行くので、耳票を引っかけて耳が裂ける事故も多い。でも、頭数が多いので、耳票無しだと判別が着かなくなる恐れがあるのだ。
 風が強まった頃、飛行場にセスナが飛んできた。
 俺は、ニュージーランドマウントクック山麓に行くのに、双発のプロペラ機に乗ったことがあるが、風が舞うので着陸寸前まで飛行機は進行方向斜めを向いてい手、すごく気持ち悪かった記憶がある。今日の天候は、あの時より全然悪いので、乗っていた人は生きた心地しなかったと思う。
 正月を島で過ごすために、わざわざチャーターしてきたそうだ。着陸直後から、風が猛烈に吹き荒れ、吹き流しは真横を向いていた。気合いで飛んでいったが、その後猛烈な嵐になったのに、あの飛行機は無事帰れたのだろうか?
 黒島崎放牧地に行ったら、青の20番の姿が見えなかった。何所に行ったのかと捜したら、灯台下放牧地に帰っていた。この牛は、灯台下にいると自由に外に出てしまうので、黒島崎まで引っ張っていった。こうやって引くと、大人しい牛なんだけどね。

 晩飯は、黒毛和牛のすきしゃぶにした。生協が来なかったので、他に食べ物がないのだ(嘘)。
 和牛は、年末年始に爆発的に売れるそうだ。久しぶりに家族が揃い、みんなで美味しい物を食べようとなったとき、和牛が選ばれるのだ。
 肉を先に焼いてしまうすき焼きより、最後に入れるすきしゃぶの方が、和牛の美味しさ(肉の旨味と脂の甘み)を楽しむには、絶対向いてますよ。
 すきしゃぶは和牛の脂身を先に炒め、野菜や豆腐などを入れ、割り下で煮た後、肉を自分が食べる速度に会わせて入れ、色が変わったら直ぐに頂きます。つゆだくで、火は中火から弱火の方が、煮詰まらなくて和牛の美味しさがよく判りますよ!