治療中

 ナカボクは、生きていた。まだ立ち上がってはいないが、排便の様子を見ると、何度か寝返りは打ったようだ。目つきにちょっと力が戻ったような・・・。エサをちょっとだけ食べ、水を飲んだ。
 哺乳子牛が4頭居て、病気の牛の治療と、制限哺乳の母牛移動などがあると、仕事がなかなかはかどらない物である。親牛に着けて放牧に出せば、もっと楽できるんだけどね( ̄〜 ̄;)
 でも、人工哺乳で育てた子牛は、可愛さも一入である。写真は、武蔵と小次郎に哺乳しているところ。武蔵は押しが強く、エサ箱に登ってこようとする。中に入ると、俺の股間を突きに来るので、用心しなければならない。
 見回りに行ったら、妊娠していると思っていた牛が、残念ながら発情していた。( ̄〜 ̄;)
 出荷する牛の削蹄もしなければならない。今日は、二頭捕まえ、ブラッシングと削蹄をして、鼻輪を着けた。
 ブラッシングすると、牛は綺麗になるが、俺の体は牛臭くなる。

 なんとか、点滴の時間を捻出したいと思いつつ、いろいろな作業を駈け足でやったのだが、どれも大切な仕事で割愛できる物は無いのだ。一つ一つ仕事を片付けていくが、日はどんどん傾いていく。焦る気持ちを抑えながら、外作業のタイムリミットと、暗くなっても出来る作業の選別をした。
 真っ暗になる直前に、やっと点滴開始。なぜ明るいうちにやらなかったかと言うと、手間取ったら他の作業が出来なくなるからだ。
 昨日失敗したのは、牛の顔をしっかり縛っていなかったから、動かれて針が抜けてしまったからだ。今日は、鼻輪を装着し、動かないように車に縛り付けた。針も、ちょっと動いたくらいでは抜けにくい、樹脂の針を使った。暖めたリンゲル液は、脚立にセットし、チューブは洗濯ばさみで身体に固定した。