揚水哀歌

 朝6時半から揚水ポンプを動かしているらしいが、丘の上のタンクのインジケーターは、10時になっても微動だにしない。タンクのところまで行ってみたら、正常時より少ないが、ちゃんと上がってきている音がする。だが、水は上がってきた片っ端からパイプに吸い込まれていく。俺の牛舎は、ここのタンクに水が溜まらないと、蛇口を捻っても水は出ない。だが、他の三件にはサブタンクが設置されていて、水は優先的にそっちに行くようになっているらしい。
 下三軒の農家へのパイプが水で満たされないと、このタンクには水が溜まり始めない。前にも言ったかも知れないが、集落のポンプより中継ポンプの方が能力が高いため、中継タンクが空になると、中継ポンプは空回りを始める。 当番の人が鹿児島出張なので、今日は俺が担当だ。一旦、中継ポンプを止め、満水になるまで待つ。と言っても、リモコンがあるわけ無いので、現場まで行ってタンクを見たりスイッチを入れたりする。以前は自動で満水にしていたらしいが、壊れたのでタイマースイッチになり、それも今壊れているから、いちいち現場に行き、スイッチを入れたり切ったりしている。

 今日も、昼飯抜きで海に行った。港は濁っていたので、坂本温泉沖に出た。メジナを突くなら、もっと別な場所で、岸際を狙うのだが、長銛を持ってカンパチやギンガメアジとの遭遇を期待して入った。12月だというのに、3mmのウエットスーツで潜れるなんて、南国だ。水面下に笹濁りがあったが、透明度は10m以上あった。
 水面を泳いでいたら、突然シュノーケルから大量の水が入ってきた。何かと思ったら、排水口のゴムが無くなって、水が直接入ってきた。普通、ここで帰るシーンかな?あきらめの悪い俺は、片手で穴を押さえて、探索を続けた。
 60cmくらいのカスミアジが一匹、射程の遥か先をさっさと逃げてしまった。普通は、一旦近づいてくるシーンなのだが・・・。バラハタが、黄色いヘラヤガラを引き連れてやって来たが、これも射程外を逃げていった。愛想のない魚は嫌いである。
 魚は居ないわけではない。俺が欲しい魚が居ないだけだ。
 帰ろうとしたとき、イシガキダイが俺を見つけてソワソワしだした。好奇心を抑えきれないのだ。ちょっと離れたところに潜水すると、早速見に来たので・・・。頂きます。
 
 粉砕した雑草に、テッターをかけた。乾いてるのは、表面だけかな?散らかるので、そろりそろりとテッタする。