種を蒔く人2

コミミズク

 農場のある高台までは、集落にある共同井戸から、ポンプで二段階に分けて丘のタンクに汲み上げている。スイッチは手動で、俺は毎日二ヶ所のスイッチを入れるのも、日課である。ところが、ここ二日ほどタンクの水の減りが、異常に早い。一日持たないのだ。どこか漏水していると思い、5ヶ所ある水飲み場を見て回ったが、異常は見られなかった。北海道ではあるまいし、凍結による水道管の破裂も無いだろう?

 今日も、種蒔きだ。灯台下採草地の、平らなところに播種した。全面にササが植わっており、筋になっているのは、刈り取る深さの違いによる。放置すると、左手前方の背の高いササになる。播種は、短く切ったところに行う。速度を出すと、腕に力がかかりすぎ、壊れてしまいそうだ。面積は広いので、はやる気持を抑えゆっくり作業するのは、なかなか大変だった。でも、焦って壊してしまったら、作業は続けられないのだ。
 大浦放牧地に移動した。
 こっちの方が面積がかなり広い。灯台下に比べると、刈り込みもあまり丁寧にはされていない。そんなところに、出来るだけ沢山の種を蒔いた。こういう作業って、センスが問われそうだが、俺にはセンスが無さそうだ。
 作業中、コミミズクが俺の前に舞い降りた。渡りの途中なのだろうか?