種を蒔く人

 朝行ったら、赤の3番が、子牛を生んでいた。雄の子牛だ。母親の名はのぼるなので、『登太郎』でどうでしょう?

 晴れて欲しい仕事をするとき、雨が降ったら嬉しい作業もちょっとやっておく!
 あまり運がいいとは言えない俺が、必要以上に落ち込まないためにやる方法だ。晴れたら嬉しいし、雨が降ってもちょっとだけ嬉しい。
 牧草収穫をするに当たって、イタリアンライグラスの種を、畑や採草地に播種したわけだが、雨が降ったおかげで、発芽が良かった。日に日に緑が濃くなっていくのは、ちょっと嬉しい。
 とっくの昔に終わっているはずの作業だが、放牧地への播種を続行した。今日は、灯台下放牧地。ファーガソン4255に取り付けた不耕起播種機に、イタリアンライグラスの種と肥料を詰め込み、等高線に沿って引っ張る。
 硫黄島の放牧地では、牧草の代わりにササが植わっている。放っておくと、高さ3〜4mにもなるササを短く刈り込み、牛が食べやすくしてある。北海道と違って、南国ではチモシーやオチャードと言った永年牧草は育たない。たの牧草は、毎年播種するタイプか、永年だけど嗜好性が悪かったり・・・。ササは、自生していて丈夫だし、親牛が食べるには十分な栄養価があるらしい。
 それでも、冬場は勢いが弱くなるので、周年放牧だとエサ不足になる。それを補うために、冬でも成長するイタリアンライグラスを播種するのだ。本当は、播種したのち、ある程度成長するまで牛は入れないのだが、新たに柵を作る暇もないので、広い放牧地のあっちこっちに播種して、何とか冬のエサとなるよう生き延びることを期待している。
 だが、短く刈り込んであるとは言え、ササの生えた斜面を不耕起播種機を引っ張って走るのは、とても神経を使った。