老牛

 作業ツナギを乾していたのだが、雨で濡れていた。晴れていたら、刈り取ってしまった牧草を、テッターで反転させて乾かし、明日ロールしてラップサイレージにしようと思っていたのだが、この天気ではそれも出来ない。
 市場から帰ったら、丸めて冬の親牛用にしよう。

 これだけ沢山の牛がいると、もう廃用にした方が良いという牛も当然いる。足を痛めてまともに歩けなくなった1071番は、10月末の成牛市に行くことが決定した。ちゃんと発情は来るのだが、たぶんからだが耐えられないと思うほど、ガリガリに痩せてしまっていた。赤字になるから、太らせる必要は無いと言われていたが、長い間働いた事へのねぎらいとして、牛舎でゆっくりして貰うことにした。最近は、ちょっと太って幸せそうだ。
 放牧地にも、年老いた牛はいる。目の周りが白髪になり、肌も荒れて、ケンカも弱くなっているのだが、連動スタンチョンにしてからは、一生懸命頭を突っ込み、エサを食べている。俺も、見かけたらエサを多目にやっている。
 俺が直接儲けさせてもらったわけでは無いが、一生懸命な姿に、敬意を払わずにはいられない。