9月市場


 暗いうちから起き出し、出発した。繋留所に繋ぐ前に、エサと牧草を食べてもらうためだ。
 牛舎のエサ場前には、ムシロが敷いてあった。お昼に、ここで弁当を食べるために、場所取りしているらしい。仕事にならないし、ムシロの上に牧草が落ちるので、にこやかに
「エサをやる間、二つ折りにしても良いですか?」
話をしながら、子牛達の食べっぷりや健康状態をチェックする。
 一日で8頭の牛を引っ張ると、腰を下ろす暇がない。
 子牛を引いて順番待ちの後、披露して競りにかけられる。落札された子牛は、購買者の希望により、耳票を着けられたり、抗生物質を注射されたりした後、指定された場所まで引っ張っていって、引き渡す。すぐに走って、次の牛を引きに行く。
 成長ではなく、日令で出荷を決めたため、210kgと言う小さな牛まで連れて来て、とんでもなく安かった。次も・・・次も・・・安い。安すぎる。最後の伸びが無く、ぷつっと落札される。
 今日は、いつも畜主側のボタンを押す係の人が、お休みだった。誰がボタンを押しているのだろうと観察したら、三島村関係者は、誰一人ボタンを持っていない!誰かに、委託したのかな?
 競りでは、購買者だけでなく、販売者も競りのボタンを持っていて、希望価格に近づけるために競る。そこで、2〜3万円は値が変わってくるのだ。
 昼飯の時に聞いたら、誰も競っていないそうだ。
 8頭売って、200万円に達しない。今回は、牛も小さかったし・・・でも、来月はコジケの牛が上場するから、あまり期待できない。畜舎がいっぱいで、離乳が遅れた子牛達も、あまり期待できないし・・・。しばらく、忍耐の時期が続く・・・