9月出荷

 早起きして、子牛達にエサをやった。食べ終わったところで、出荷牛を家畜運搬トレーラーに4頭ずつ乗せた。素直な子牛もいれば、徹底的に抵抗する子牛もいる。港まで二往復で、出荷牛を運び終えた。順調に仕事が進むと、嬉しい。
 代替船としまは、みしまより大きかった。4000馬力のエンジンを二機積んでおり、最大19ノットで航行できる。船室が沢山あり、寝る場所を確保しやすかった。
 だが、今日の三島地方は、湖のように波が穏やかで、船は揺れることなく航行し、俺は船室に籠もることもなかった。
 船に驚いたトビウオが飛び立つ。トビウオは、羽ばたいて飛んでいるのではなく、滑空しかできない構造だ。そう思ってみていると、失速しそうになったトビウオが、明らかに加速しているシーンを見かける。以前は、なんじゃこれは?と思ってみていたが、羽ばたいて加速するのではなく、水面に尻ビレの先だけを着けて振り、それで加速しているのだ。
 残暑が続くとの予報だが、海の上には明らかに秋の風が吹いていた。ただ、空気は澄み切っておらず、高さ200mくらいまで靄がかかっており、視界はかすんでいた。
 鹿児島の港で、レンタカーを与えられ、市場に行く人2名を乗せた。
 市場では、大型トラックで運ばれてきた子牛を、市場当日まで飼育する牛舎に入れる作業をした。そういった作業の間に、子牛達の体を見て、異常をチェックする。
 残念なことに、盲目の子牛が一頭、床ずれから菌が入り、膝が化膿して腫れ上がっている子牛が一頭いた。盲目は手の施しようがないが、膝の化膿は切開手術をしておられた。
 こちらでは敷きワラやおがくずなどが手に入りにくいので、子牛は糞の上かコンクリートに寝ることになるそうだ。まめな人ほど、綺麗にしたコンクリートがむき出しになり、床ずれが出やすいらしい。
 堆肥の切り返しをマメにすれば、完熟堆肥が出来るので、それを戻し堆肥として床に敷けば、一気に解決すると思うのだが・・・。堆肥の切り返しをする人が居ないらしい。