削蹄 H2Aロケット


 今朝の港は、昨日より綺麗な潮が広範囲に流れ込んでいた。あぁ潜りたい!だが、食べる魚は冷蔵庫にあるし、仕事がつまっている。手伝いの人が、『行ってきていいですよ!』(お土産さえ貰えれば)と言ってくれたが、俺にしかできない仕事がある。運がよければ、昼休みに潜れる。
 さて、仕事だ。
 削蹄と牛研きの続きだ。出荷子牛を捕まえ、小屋から引っ張り出す。出してしまえば、意外に簡単に枠場前までは引いていける。枠場に入れるのは、一苦労だ。やっとこ入れたら、前足にロープをかけて、引っ張り上げ縛る。ここで、刹那的に暴れてひっくり返ってしまう子牛もいる。近くに居すぎると、滑った足で蹴られるかも?
 足を固定したら、鎌で爪を切っていく。よく切れる刃物は、気持ちが良いねぇ!牛が暴れたら、すぐに離れないと、自分の鎌で怪我をする。
 削蹄が済んだら、ホースと金ブラシで、牛を綺麗に研く。枠場に入れたままだと、狭すぎて手が入らないので、ちょっと後ろに下がらせる。全部出してしまうと、尻を振ったり蹴ったり、大変なことになる。
 洗い終わったら、鼻輪を装着する。これには、裏表がある。市場に行くまで、知らなかった。今回は、ちゃんと確認しながら、適正に装着した。
 今回、4頭終了。あと2頭で、出荷牛全部が終了する。今回は、何とか間に合いそうだ。野生化していたはるかとスズコを、餌付けしている。二頭とも馬の放牧地で管理しているのだが、エサ場が壊れていて、放任状態になっていたのだ。とりあえず、エサを食べている間に、体を触られる事に慣れさせ、駆虫薬を投与した。

 二日目の刺身は、しっとり落ち着き、歯ごたえはしっかりあるが、旨味も増して、美味しくなっていた。特にメジナの変化が大きい。俺の好みとしては、あと一日氷温室に置いた方が、美味しいと思う。

 種子島から、ロケットが打ち上げられた。突如、南方の空が明るくなり、赤っぽい光を出し、周りの雲を照らしながら、ロケットは空に飛んでいった。遠いので、音が届くまでには、かなりの時間を要した。
 久しぶりに、流れ星を3個見た。