また取りすぎた

 朝見たときは満潮で、湾全体が濁っていて、とても潜れる状況では無かった。なかなか魚が食べられないなぁと思いつつ・・・。
 見回りも終わり、港に届いていた4.5トンものエサを取りに行くときになったら、引き潮に変わって青い潮が流れ込み、良い条件だった。コレハイクシカナイ!早く、午前の仕事を切り上げたかったが、どれも省略できない仕事ばかりだった。

 パンを囓って、いざ・・・岩場の入水口は、意外に濁っている。泳ぐと、赤い水の中にクラゲのカーテンがぁ・・・体はライトスーツを着ているので大丈夫だが、マスク以外の部分はむき出しだ。シュノーケルにクラゲが引っかかり、上唇を刺されることも多いので、手で口をガードして泳ぐ。進んでも進んでも、透明にならない。沖堤防脇も、3mくらいは見えるのだが・・・。朝の濁り水が、水面直下に残ってしまったらしい。
 船の航路あたりは、十数メートル下の海底まで見えていたが、水面付近にはクラゲを含む濁り水があった。でも、テトラポットに近づくと、50cm大のギンガメアジが次々出てきて、俺を観察してくれた。だから、俺もよく狙って・・・刺身に傷が入らないよう、頭を・・・。2尾ゲット。メジナが、はじめに遠くから見ただけで、その後姿を現さない。テトラの奥にいるのを、外から狙って・・・。
 このまま帰れば良かったのだが、友人の船がやって来て、沖の瀬に潜りに行って不漁だったと言ったので、つい・・・。
 もう一つのポイントに移動し、乱舞するメジナを2尾捕ってしまった。43〜47cmのメジナと、55cmのギンガメアジの重みは、捕りすぎたことを俺に非難していた。
 濁りは更に増し、クラゲも増した。唇や首筋にからまる触手。温泉水が暖かく、気持ち悪い。やっと岸に着き、波の力を利用して上陸。魚が重い。
 魚を氷で一気に冷やし、内蔵を取る。ギンガメアジは、頭も落とした。ご近所さんに貰ってもらい、仕事に行く。

 仕事が上がったら、汗だくの体で、料理である。飯を炊き、扇風機の風を浴びてから、魚をさばく。メジナは、まだ死後硬直さえしていなかった。5枚下ろしの作にして、ラップして真空氷温室に入れる。
 今日のおかずに、二作刺身にした。新しすぎるので、通常の半分の厚さに切った。
 メジナは、新しすぎて、歯ごたえコリコリ、味は淡泊すぎた。まだタンパク質が分解しておらず、旨味が足りない。ギンガメアジは、堅いのだが、それなりに旨味があった。