予防注射

 久しぶりに、晴れた日だった。牧場へ登る坂の途中で、車を止めて港を見ると、綺麗な潮がテトラポットの所に来ていて、波も静かだった。絶好の突きン棒日和♡ だが、今日は獣医さんが来るので、遊んでいる暇はないのだ(T_T)/~~~
 黄色の78番を、灯台下まで引いていった。下痢をしていた子牛に、バイコックスを飲ませた。出荷牛を一頭枠場に入れて、削蹄とブラッシングをした。
 俺が硫黄島に来てから、種付けをした牛をチェックした。2ヶ月以上発情が無い牛は、15頭程いた。その番号を控えて、各放牧地を周り、連動スタンチョンに入った牛を確保した。目が悪いのか?合計で5頭しか発見できず、そのうちの2頭は、間違えて放してしまった。3頭だけ、妊娠鑑定をしてもらうことにした。

 獣医さんが来たら、まずは来月出荷予定牛に、予防注射をすることだ。オモテをつかむと、子牛は結構暴れる。それを耐えながら、ロープを結んで柵に固定する。子牛の成長に、結構バラツキがある。だが、鹿児島では300日を過ぎると値が下がるので、大きく使用なんて思わないで、出荷するしか無さそうだ。
 新たに離乳した子牛たちの、鼻紋を採取した。その後、外に繋ぎっぱなしの母牛を、妊娠鑑定してもらった。二頭はすぐにプラス鑑定だったが、一頭は俺が種付け時期を覚えていなかったので、再認となった。でも、60日と申告していたのなら、プラスだと答えたそうだ。
 再び戻り、母牛候補生のモトツボクミコの鼻紋を取った。
 急いで仕事をして、祭の終盤に間に合った。暑いのに、長袖を着ている女性が多かった。お面をかぶった子供たちが、葉のついた木の枝で叩いて回るため、腕を守るためらしい。踊りが終わった後、精霊(めんどん)が女性の居る家を襲う行事がある。良く仕組みの解っていない俺は、みんなの家を襲うのかと思い、間違っても俺の家を襲わないよう、精霊達にコッソリ耳打ちして、笑われた。ゴロウとカイトは、俺を守るためなら、何をするか解らないのだ。