八朔踊り

 子牛の削蹄をしようと思い、削蹄鎌を捜した。・・・見つかったのは、赤錆だらけの・・・錆びたら、研げばいいのだ。削蹄鎌専用の砥石を引っ張り出し、真面目に研いだ。
 早速、1頭連れてきて、枠場に・・・入れるのに、凄く苦労した。入ってしまえば、こっちの物である。前足をロープで縛って、蹄の裏を鎌で削る。とても柔らかい蹄で、まるで硬めのチーズを切っているようだった。切りすぎないように、気をつけなければならない。
 せっかく枠場に入れたのだから、尻の運古剥ぎもした。濃いめの洗剤液を着けて、ふやかしておかなければならない。爪を切り終わる頃には、運古もふやけて、落としやすくなっていた。
 作業的には楽なのだが、姿勢が低いのでちょっと辛いかな!つなぎが、汗でビショビショになってしまった。

 助っ人殿と、乾草庫から切り草小屋に、ロールを運んだ。これって、一人でやると、膝も腰も痛くなるんだ。

 突然、桂三枝師匠が牧場にやってきた。
 さすが大御所、今まで会ったテレビ関係の人より、倍くらいの人を引き連れておられた。
 俺は、誰が訪ねてきても、同じ対応しかできない。
 牛糞の匂いがキツイと言っておられたが、俺は鼻が慣れてしまって、感じることが出来なかった。放牧した牛の群を見たいと言われたが、それが見られる放牧地に行ける格好をしておられなかったので、馬の放牧地に案内した。
 大きくてハンサムなポパイは、人目を引く。でも、大動物に慣れていない人には、ちょっと怖かったかも?
 黒豚ローズに会わせた。強面のローズは、初対面の人には取っつきにくいかも知れない。でも、俺が乗り、カメラマンさんが乗ったのを見て、三枝さんも一瞬跨って、画を撮られた。
 テレビ関係者は、八朔踊りを見に行かれたので、俺は続きの牛舎作業だ。こういう日に限って、イレギュラーな事が連発し、終わったのは6時半だ。恐る恐る山を下りてみたら、最後の踊りを残すだけだった。
 大きな面をかぶり、ミノを着たたぶん精霊は、葉のついた小枝で人を叩いたり、若い女性を抱きかかえて連れ去っていたが、厄除けなどの御利益があるらしい。
 本番は明日らしいが、明日も俺は獣医さんが来るので、とても忙しかったりするのだ(T_T)/~~~