次の出荷まで、あと一週間。やらなければならないことは、沢山ある。
 あずきと徳太郎は、離乳した日は静かだったが、翌日から盛大に母を呼んで鳴いていた。今日は、ちょっと静かになったかな。母親を灯台下放牧地に移動させようと思って、緑の2番と赤の9番を、引っ張って連れて行った。だが、よく調べてみたら、緑の2番は、タストシコの母親だった。予定では、あと五日後の離乳なのだが・・・。
 足の悪い1071が、珍しく牛舎前に帰ってきた。よく見ると、発情している。前回帰ってきたときも、発情していた。だが、マウンティングされて、潰れていた。やっぱり無理だよな〜。ガリガリに痩せてしまっているので、成牛市に出すまで、牛舎に入れてやることにした。
 チビ子牛たちに、耳票を着けた。小屋から出す準備である。
 かなり前から、外を出歩いていたアリスと茂三郎は、母親と一緒に小屋下放牧地に移動してもらった。
 ここ数日、晴れ間が見えたと思って安心していると、突然激しい雨が降り出す。窓を開けていると、雨が降り込み、洗濯物はずぶ濡れだ。変な天気だが、出された茂三郎は、ちゃっかり牛舎の千代太郎の部屋に避難していた。たくましく生きろ!
 灯台下放牧地の飛行場側に、牛が脱柵していた。柵の外は牛が飛び降りれない高台のため、実害はないのだが、柵修理キットを持って出かけた。壊されていたのは、ずいぶん離れた場所で、そこから柵沿いに歩いていったらしい。バラ線が、錆びてボロボロになっていた。

 たまには、魚が食べたいのだ。
 高台から見たら、港沖のテトラポット周辺が、久しぶりに青かった。ちょっと荒れているが、テトラ周辺は大したこと無い。俺が食べる分なら、一匹捕れば充分おつりが来る。足も痛いし、体をほぐすのにちょっと泳いでこようと、入り口を捜した。
 ちょうど引き潮で、堤防からの落差も相当あるので、ここから入ると、登れない。赤い海を泳ぐのはイヤなので、港からは行けない。岩場を調べたら、俺なら帰ってこられそうな場所が見つかった。
 でも、明日に延期することにした。ちょうど、漁師さんにも会い、明日にするよう力説された。明日は、良い潮が入ってくるかなぁ。