牛の移動

 今日は、5組の親子を放牧に出した。綾六郎、姫太郎、しゅう、ふくまる、なおみが、親の後に着いて、放牧地に歩いていった。今回の放牧地出陣は、これまでよりスムーズに行ったという印象だった。子牛同士がとても仲が良く、まとまりがあった。だから、てんでんばらばらに走り出すこともなく、親を置いて元居た部屋にかえることも無かった。

 空いた部屋の一つには、黒島崎から予定日を過ぎた赤の5番を連れかえった。飛行場を横断して、歩いて連れ帰ったのだが、とても従順だった。
 ここに引っ越して4ヶ月が過ぎたが、ここの牛達との関係が、とても優しいモノに変化してきたと思っている。
 来たばかりの頃は、とても危険な雰囲気が漂っていて、油断すると本当に怪我をした。月に一度、バイチコールというダニ駆除薬を背中にかけるのだが、連動スタンチョンに入っている牛に、横からかけようとすると、体を捻って俺を蹴りに来る牛ばかりだった。その時は、どうしようかと本気で悩んだが、今月のバイチコールでは、そういう牛は居なくなっていた。まだ油断は出来ないが、俺のことを少しずつ認めてくれているということだ。

 あと二部屋空いたので、子牛たちを二つずつずらして引っ越しさせた。そのためには、通路を挟んで7頭移動させなければならなかったが、モクシで引っ張るのは難儀した。出荷まで一週間を切ったが、そろそろ引き牛調教しなければ、市場で恥を掻くことになる。