美味しい魚をゲットせよ!

 朝牛舎をやっていたら、電話があった。お盆の行事に使う枯れた松が欲しいので、牧場に入りたいが、牛が興奮していて怖い・・・といった内容だった。行ってみたら、発情した牛がいた。
 俺を見つけて、出産予定日を過ぎたカズエ(第一花国)が寄ってきたので、牛舎まで連れかえった。だが、今日も子連れの牛は、捕獲に失敗した。

 明日は、お盆の行事があるらしい。
 朝から、竹を束ねた柱を作り、それを立てたら、男達は海に魚を捕りに行くことになるらしい。銛で突いても釣りでもよく、その魚は夜の会に重要らしいのだが、例年と違ってポイントに運ぶ船が出せないので、魚の確保が難しいそうだ。
 今日は、港の中まで青く綺麗な潮が入っており、回遊魚が港に来る絶好の条件だった。魚は、今日取っても良いらしい。俺は、港沖にあるテトラポットに、魚が住み着いていると確信しているが、行くには酸化鉄で赤く濁った温泉水の中を突っ切らなければならない。こう見えても、俺は透明でない海で泳ぐのが、とても怖いのだ。 
 だが、漁師さんからポイントの状況や、魚の種類を聞き、出かける決心をした。銛は、穴突き用の短いセッティングではなく、回遊魚用の3.5mにした。
 赤茶けた海を、一気に通り抜け、普段人が行かない沖テトラに向かう。
 テトラに着いた途端、ギンガメアジが様子を見に来たので、慎重に頭を狙って・・・。50cmクラスの、2〜3人で食べるには十分なサイズだ。えらを取って血を抜き、紐を口からえらに通してしばった。いつもなら、これで終了なのだが、今日はまだ捕らなければならない。テトラの間には、メジナが沢山いて、俺を見ていた。俺の銛は大きすぎるので、メジナだと相当でかくないと、可哀想だ。よく見ると、大きいメジナも沢山いるが、今日のところは見送ろう。程なく、別なギンガメアジが通り過ぎようとしたので、メクラ撃ちで仕留めた。土手っ腹に、大穴を開けてしまった。
 その後、岬の先端まで偵察しに行った。キンギョハナダイの群が崖の側にいて綺麗だ。タテジマキンギャクダイ、サザナミヤッコ等が俺を楽しませてくれたが、食べて美味しい魚には会わなかった。岬の先は、シャンパンシャワーになっており、視界が取れないので引き返した。見えない海は、怖いのだ。
 帰り道、港の中は赤茶色の温泉水だった。ウエットスーツも髪の毛も鉄サビ色に染めながら泳いで帰ったのだ。魚は急いで上納し、冷蔵庫に入れてもらった。ウエットスーツは、すぐに洗濯機の浸け置き洗いコースで洗濯した。