タイヤ交換

 いっぺんにいくつもの仕事をこなすことは出来ない。今日は、タイヤ交換をやり遂げると決心して、牧場に出かけた。
 一通りの朝牛舎作業を終え、ファーガソン4255の元へ。工具が見つかったので、ホイルを止めているナットは外せた。だが、フロントローダーで前輪を持ち上げようとしたら、理由は分からないが、上がる気配がなかった。仕方なく、ジャッキを用意したが、ストロークが足りなすぎて、ホイルを外せない。もう一つジャッキを用意して、板を噛ませたりしながら、少しずつ持ち上げてようやく外せた。
 タイヤだけでも重いのだが、ホイルと一緒だと、血管が切れそうに重い。やっとこハイラックスの荷台に乗せ、工具の豊富な事務所前で作業だ。
 学生の頃、バイクのタイヤ交換ならよくやっていた。だが、このイヤになるほど重く、堅いタイヤを、本当に外せるのだろうか?不安がよぎる。
 こういうモノは、力任せにやっても、絶対に成功しない。台所用洗剤を、タイヤとホイルにたっぷり塗り、潤滑剤とする。長いタイヤレバーと、すごく長いタイヤレバーを使い分けながら、少しずつリムからタイヤを外した。
 重たいホイルを抜き取る為に、古タイヤを三段重ねた上に、トラクターのホイルを置き、上に抜き取るような方法を取った。途中何度も、千手観音になりたいと思った。手が足りないのだ。
 外したら、ホイルに新しいタイヤを着けなければならない。
 こちらにも、裏表たっぷりと洗剤を塗った。そして、焦らず短気を起こさず、丁寧に丁寧にタイヤレバーを動かし、何とか取り付けることが出来た。
 力任せにやると、ホイルやタイヤを傷つけ、チューブに穴を開けることになりかねないのだ。洗剤の潤滑が、成功の決め手だ。
 血管が切れそうになりながら、ハイラックスの荷台に乗せ、ファーガソン4255の所に行った。空気が入ったため、今までよりさらに高くまでジャッキアップしなければならない。あとちょっとと言うところで、限界を感じていたのだが、試しにエンジンをかけてローダーを使ったら、ひょいとフロントが上がった。今までの苦労は、何だったのだ?