鼓衆 若太陽

 灯台下放牧地で、子牛が生まれていた。先日生まれてしまったアヤの子ではない。次の出産予定は8月1日に二頭いるので、さらなる部屋割り作戦が必要となる。
 出産した母牛には、子宮回復のためにも、十分な栄養を取らせたい。そうすることが、繁殖率の向上に繋がり、母牛管理が楽になる。
 小屋下放牧地の牛のために、連動スタンチョンを取り付けようと思っているが、これも、栄養状態が悪い弱い牛達に、十分な栄養を取らせ、離乳前に種付けを終了させるために必要な作戦だ。タダ、連動スタンチョンに合わせて、柱をずらす必要があるので、工事は一筋縄ではいかないのだ。誰か、手伝ってくれぇ〜!
 スタンチョンがない状態では、強い牛が柱と柱に挟まれた一間ほどを占領し、弱い牛はエサ場に近寄れない。これでは、太る牛は際限なく太り、痩せた牛は痩せる一方だ。

 思いがけず降り続いた雨で、小屋に入りきれなかった牧草ロールは、しっぽり濡れていた。風が通らないと、すぐに黴びてしまうので、間隔を開けるように転がし、地面に接していた部分をずらした。
 雨水は内部までは浸みておらず、ちょっと日射しが出たら、すぐに乾いてしまった。恐るべし、南国の日射し!

 子牛と母牛を連れ帰ろうと思って、放牧地に行ったが、2頭いるはずの子牛は、いずれも見あたらなかった。特に、アヤの子牛を昨日から見ていない。かなり歩いて探し回ったが、全然姿が見えず、アヤ自身も捜しているような素振りをしていて、とても不安になる。
 昼過ぎに探しに行ったときも、アヤは一人で彷徨いていたのだが、夕方の散策では、ちゃんと子供を連れていた。子牛に無理をさせないよう、日中は藪の中に隠していたのだ。

 夕方6時から、三島村ジャンベと沖縄和太鼓演奏集団『鼓衆 若太陽』(ちぢんしゅう わかてぃーだ)の合同演奏会があった。6時は、我が牧場にとってはとても厳しい時間だが、いつも通り滑り込みで間に合った。汗臭くて、皆さんどうもすいません。
 ジャンベ演奏には、ジャンベの神様・ママディーケイタさんが来る予定だったが、体調が悪いために、代わりにアメリカから息子さんが駆けつけてくれた。村の小学生と一緒に、楽しい演奏を聴かせてくれた。
 若太陽の演奏は、度肝を抜かれた。
 小学生から高校生を中心として、400人ほどの大きな会の中から、選ばれた人が来ているらしい。動き、かけ声、桴さばきすべてが、魅せるモノとして考えられており、音の一つ一つに魂がこもっていた。