はやぶさ帰る

 基本的には、降ったり降ったりの一日だった。湿度は、ほぼ100%。肌がジットリするが、慣れれば意外に平気なのだ。200ボルトの大型扇風機を取り付けられたら、牛も働く人も、涼しくなると思うのだが、口蹄疫拡大で市場が閉鎖されており、資金繰りが難しくなってきた。

 朝牛舎のとき、母牛の顔色を伺いながら、子牛の体を撫でる。子牛は気持ちよさそうに首を伸ばしているが、油断していると、母牛がやってくる。母牛には声をかけ、警戒心を起こさせないようにしてみる。
 沢山触った子牛ほど、人懐っこくなり、育てやすく、結果的に大きくなりやすい。焦ってもどうにもならないが、少しずつ前に進もう。
 昼間絶食しているヒカリは、隣でエサを食べているのを、うらやましそうに見ていて、あとで俺に文句を言う。感情表現が豊かなのは良いが、夜中の出産を減らすためには必要なんだよ!

 雨で仕事にならない為、事務作業をした。事務所は、ところどころ雨漏りしており、湿った木材にはシロアリが着きやすく、天井が落ちている。何とか手を打った方が良いと思うが、屋根に登って排水を良くしただけ。コンクリートにヒビが入っていた。

 港に行ったら、いつものようにゴロウとカイトが女性に囲まれていた。人気者だねぇ!

 世間的には、ワールドカップで盛り上がっているのだろう。カメルーンに日本が勝ったらしい。誇らしいことだと思う。
 だが、俺としては、『はやぶさ』が地球に帰ってきたことの方が、重大ニュースだ。
 相次ぐ故障を乗り越えたことを、『どうしてあんなに故障ばかりするの?』という人もいると思うが、太陽フレアを浴びた段階で、本来の使命を果たせなくなっていたであろうところを、神懸かり的バックアップで無事乗り切り、地球に帰ってこさせた技術は凄いと思う。そして、そんな『はやぶさ』に感動する人が沢山いることも、嬉しかった。
 日本は技術立国のはずだ。このような技術こそ、日本が世界に誇れる物で、それを仕分けしてしまっては、未来がなくなるのではなかろうか?170億円の予算を3000万円に削減したそうだが、それでは仕事も出来ず、技術者を留めることが出来ないだろう。無駄遣いは嫌いだが、大切なところには使うべきだと思う。

 関連があるか判らないが、価格ドットコムで室内用扇風機を2台注文してしまった。また、お客さんもありそうだし・・・。