欠航


 朝から雨の予報だったが、意外に雲が薄く、雨が降る気配は無かった。朝牛舎では、先に帰ったトシの分まで、タスクが頑張ってくれた。さらに、地域興し協力隊員の女性が、沢山切り草を作っておいてくれたので、とても助かった。
 乳飲み子牛たちの行動範囲がさらに広がり、積極的にエサを食べに来るようになってきた。通路の糞便は増えるが、子牛の腹は強くなるので、ありがたい。
 朝飯に帰ったら、高波のためにフェリーが欠航し、明日は日帰り航行(鹿児島から島を回って、鹿児島に帰る強行軍)になったことを、お隣の人が教えてくださった。タスクは、明日の船で帰るのだが、日帰り航行だと飛行機の時間に間に合わない。仕方ないので、明日は鹿児島で一泊し、明後日の朝の便で帰ることになった。明日の船が欠航しなければ・・・。
 せっかく背の大きな若者が居るのだから、高所作業をした。子牛の牛舎に雨が降り込むので、軒に防風ネットのカーテンを着けてみたらどうかと思っていた。悩むのは、留め方と、巻き上げ方、風に負けない重りの付け方。こういう物は、行動してみないと、考えがまとまらない。
 取り付けている最中に、雨が降ってきたので、作業は中止。しばらく観察しながら考えた。雨が降らないときは、巻き上げておきたいのだから、重りは地面に置いて、使用時だけ引っかけたらどうだろう?明日、晴れたら挑戦してみよう。
 雨の中、牛の発情を見に行った。発情しないで欲しいと願いながら・・・。牛達は、藪の中で雨宿りしており、大浦以外では、姿を現さなかった。

 久しぶりに、大きなお好み焼きを作った。お好み焼きは、3年連続で米村牧場を訪問してくれているサマンサが、我が家に持ち込んだ料理で、それを俺なりにアレンジした。野菜も肉も魚介も入って、完全食なのだ。その量に驚いていたタスクだが、しっかり全部食べた。


牧場を良くするために、これからやりたいと思っている事を書き出し、その予算、工期と、優先順位をつけた。書き出してみると、考えが整理しやすいかもしれない。
 牛舎に帰ったら、子牛が生まれていた。帰るときは陣痛などの予兆を感じなかったのに、ペロッと産んでしまったようだ。子牛は、すぐに立ち上がり、あっという間に母乳を吸った。元気な牝だ。
 おとくが、あやめを苛めて可哀想なので、別室に分けた。乳を飲むとき以外は部屋に入れなかったあやめは、意地悪なおばさんの居ない部屋で、安心した顔をしていた。