アフリカンな島

 今日は、長い一日だった。
 出勤するとき、島の子供たちがタケノコを掘りに行くところだった。島一番の繁華街は、引率の車で賑わっていた。
 二組ずつの乳飲み子親子部屋は、入り口を少し開けてある。子牛が散歩に出かけ、やがてはエサをつまみ食いするためだ。隙間が狭いので、一旦出ると、なかなか帰ってこられなかったのだが、3日経ってようやく位置関係を覚えたようで、遊びに出て行っては、乳を飲みに帰ってくる。
 子牛のエサが終わったら、パンク修理だ。

 石けん水で念入りに調べたら、ピンホールのような穴が開いていた。北海道から持ち込んだ工具箱から、パッチとゴム糊を出す。???蓋が微妙に空いていて、糊は干からびていた(T_T)/~~~
 工具室を捜すが、人が仕舞った物を見つけ出すのは、僥倖に等しい。
 捜索を諦め、チューブをハイラックスの屋根に積み、集落に向かう。見かけた人に、ゴム糊を持っていそうな人を聞いてみると、『今時持っている人はね〜』と言う言葉の後に、『○○さんなら持っていると思うけど、今日はいないよ!』
 それでも、犬も歩けば棒に当たるのだ。
『海水浴ですか?』と声をかけられた九州電力発電所に、未使用の自転車パンク修理セットがあった。ありがたく、ゴム糊をちょこっと塗らせてもらい、チューブの修理はOK!

 巨大なタイヤとリムの隙間から、大きなチューブを入れる。普通は、ホイルごと外して、地面に置いて作業する物だが、外す工具がないのでトラクターに着いたままの作業だ。タイヤの大きさと重さが、作業を邪魔した。
 それでも、何とか修理が完了し、ロータリーを取り付けて、イタリアン畑を耕した。プラウでひっくり返せば、雑草も生えないのだが、無い物はしょうがない。ロータリーの爪が深く入るように調節し、一気に耕した。

 今日は、ジャンベ留学生(アフリカの太鼓演奏を学べるのだ)の歓迎会だった。バーベキューと飲み物が出て、地域の人たちと話が出来るとあっては、出ないわけにはいかない。ギリギリまで仕事をして、農作業で汚れた作業着のまま、会場に直行した。ゴロウとカイトは、荷台で待たせた。

 不思議なのだが、俺が居るテーブルやコンロは、食材が一気になくなる。俺は勿論沢山食べるのだが、周りの人たちもそれに吊られてよく食べるのだろう。食い尽くしたところで、隣のバーベキューを皆で襲った。
ジャンベ留学生や地元の人たちの太鼓は、島をアフリカンな夜の闇に包んでいった。演奏として聞いたのは初めてなのだが、とても楽しいものだった。みんな、芸達者だ!

 二次会と言っても、飲食店はないので、地元の人の家になる。手作りのすごいご馳走が待っていた。こういう事を受け入れてくださる奥さんに、頭が下がる。
 さんざん飲んだ後だったので(下戸だし・・・)、話しに夢中になった。
 ポパイを、島の観光に生かそうという話が上がっている。俺としては、ポパイの良さを判ってもらえることが、とても嬉しい。提案した人に、一度実際に乗りに来てくれと頼んだのだが、とても熱い人で、島の産業や将来の発展について、話し込んでしまった。