石灰撒き

 交通の手段が村営船しかないのは、不便である一方、防疫の面で考えると都合がいい。
 船が出る鹿児島の港では、村の職員の方が石灰を撒いて、島に口蹄疫が入り込まないように頑張ってくださっているそうだ。
 島の和牛生産組合でも、牧場周辺に石灰を撒いた。500kg袋で2袋来た石灰を、ユニックに積み込み、灯台下放牧地前の道から、各牧場周辺に共同で散布した。

 大袋に、えさ用スコップやボウルを突っ込み散布すると、微細な石灰の粉が辺り一面に飛散し、涙と鼻水が止まらなくなる。俺は、ユニックの運転手だったから比較的被害が少なかったが、それでも風向きによっては真っ白い粉に包まれた。荷台の人は、髪の毛まで真っ白で、10歳ほど老けて見えた。箒で広げる係の人も、SF映画っぽくてよかった(?)
 石灰を消毒の目的で撒くのなら、しょっちゅう撒いていないとならない。今回の目的は、どちらかというと、訪問者に対する警告なのだろう。
『ここに牧場があるので、余所で牛や豚を触った人は、近寄らないでね。』
 皆、真っ白になって、散布終了!
 ユニックを洗車するために、高圧洗車機を引っ張り出した。高圧ではないという意見もあるのだが、一応高圧洗車機と名前が着いているこの機械は、石灰ぐらいは綺麗に洗い流してくれた。